[仏花]お悔やみのお花のマナー 訃報を受けてお花をお届けするとき|エバーグリーン

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「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」

西行法師が詠みました。

私たち人間は、亡くなる時期は選べませんが、季節の変わり目、気温の変化が大きい今頃は、お悔やみのお花のご注文が多くなります。今回は、もしも訃報を受けて花を届けるときに気を付けたいことを、花屋の立場でお話ししようと思います。

 

葬儀の前にお花を届ける場合にお尋ねしていること

親しい方が亡くなった枕花をお届けすることがあります。枕花とは文字通り故人の枕元に飾るお花のことです。

親族の方が直接お店にいらっしゃったときには、次のような項目をお尋ねしています。

  • 飾る方法  花瓶に生けるか/アレンジメントにするか

お家の花瓶をご使用になるようでしたら、高さと口の直径、形状をお聞きしています。ない場合、わからない場合には、器を必要とせずすぐに飾っていただけるアレンジメントをお勧めしています。ほどほどの大きさが望ましいとされています。

シンビジウムを入れた優しい色のアレンジ

シンビジウムを入れた優しい色のアレンジ

 

  • 和花か洋花か

昔からよく選ばれる菊は、花もちがよく安心なのですが、生活様式が洋風のご家庭も多く、洋花を希望される方が増えて来ました。洋花の代表的なユリは、もちも良く、花瓶の水が汚れにくいですが、香りが苦手な方も多いようです。また一般的に、洋花は菊などの和花に比べると高価になります。

百合を入れたオーソドックスなアレンジメント

百合を入れたオーソドックスなアレンジメント

 

それらを考慮しながら、個人のお好きだったお花を入れるなどして、枕花を作ります。ある程度のボリュームをご希望の場合は、和洋とりまぜて作ります。

若くして亡くなった方へ ダリアとラナンキュラス、クレマチス

若くして亡くなった方へ ダリアとラナンキュラス、クレマチス

枕花には、菊やユリの他に、カーネーション、ランなどがよく使われます。

 

昔は白あがりといって、白い花だけでお作りすることが多かったのですが、最近では水色や淡い紫、淡いピンクなどお入れして作ることも増えています。

こぶりに作った洋花のアレンジ

こぶりに作った洋花のアレンジ

 

  • お届け時期

枕花はあまりに早く届けるのも待っていたかのようで失礼とされています。目安としては、お通夜の午前中までにお届けします。

バンダとアスターで作った個性的なリース

バンダとアスターで作った個性的なリース

 

  • 葬儀場にお花を届ける場合

葬儀場のお花は葬儀屋さんが一手に引き受けていることがほとんどです。いろいろな理由で花屋に直接注文したい、という方が問い合わせしてくださることもありますが、葬儀屋さんにお願いした方が確実だとお伝えしています。

その理由は、葬儀のお花は祭壇のお花と供花の調和が大事だと考えられているからです。会場は、全体像をしっかり把握していらっしゃる葬儀屋さんが一枚の絵のよう作るため、お任せした方がよいのです。

それでもどうしても、という場合は、葬儀屋さんに連絡して会場への持ち込みの許可をとってから手配してください。場所によっては受け入れ不可、または持込料を請求されることがあります。どうしても自分の想いのこもった花をお供えしたいと思われるなら、葬儀の後、しばらく経ってからご自宅にお花をお届けしてはいかがでしょうか。

 

遺されたご家族が「亡くなったばかりのときは花がたくさんあったけれど、そろそろ花がだめになって寂しい」と、1~2週間くらい経ってから花を買いに来られることがあります。たとえば二七日(亡くなって2週間後)、三七日(亡くなって3週間後)などの日にあわせてお花をお届けしたら、きっと喜んでいただけると思いますよ。

美しい女性へ カラーのイメージ

美しい女性へ カラーのイメージ

 

この後も、月命日、四十九日、百か日、祥月命日(一周忌、三回忌(二年後)、七回忌(六年後))、初彼岸、新盆……なども、お花をお届けするのにふさわしいタイミングです。

 

そして最後に。葬儀のお花は宗教、住んでいる地域によってマナーが異なるため注意が必要です。でも一番大切なことは、故人と遺されたご家族への心遣いだということを気に留めていただけたら、と思っています。

 

(高橋植物園 高橋さやか)

バンダとアスターで作った個性的なリース