- 高浜虚子が「吾も亦(また) 紅(くれない)なりと ひそやかに」と詠み
- 「わが国(日本)の木香」という意味をもち
- 秋の十五夜のお月見で、ススキとともにかかせない植物
とは何か、ご存じですか。
それは「吾亦紅」とも「吾木香」とも表記される「ワレモコウ」です。
バラ科ワレモコウ属の「ワレモコウ」は、日本や朝鮮半島、中国大陸、シベリアなどに分布しており、日本の草原でごく普通に見られる多年草です。
冬は地上部分の葉や茎は枯れてしまいますが、根が生きているので、春に芽を出して夏から秋にかけて花を咲かせます。花穂は、渋い赤い色で、小さな花が集まっているように見えますが、実は花びらはなく、赤く見える部分は萼(がく)なのです。
また、根にはタンニンやサポニンが多く含まれており、天日で乾燥させたものは地楡(ちゆ)という生薬(止血薬)として利用されています。属名のサングイソルバは「血を吸う」という意味があり、止血効果が属名の由来だといわれています。
最初に、高浜虚子の歌をご紹介しましたが、ほかにも、若山牧水は
吾木香 すすきかるかや 秋草の さびしききはみ 君におくらむ
小林一茶は
吾亦紅 差し出でて花の つもりかな
など、多くの歌人たちがワレモコウを歌に詠んでいます。控えめでありながら、内に情熱を秘めているような紅い花の色が、人々を魅了して止まないからでしょう。
もともと日本で見られる植物ですから、暑さ寒さにも強く、育てやすい植物です。日当たりがよく水はけが良い場所ならば、水やりの必要もほとんどなく育ちます。庭に直植えしたり、鉢植えで育ててみたり、いろいろな楽しみ方ができそうですね。
ワレモコウの花言葉:「変化」「もの思い」「愛慕」
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(エバーグリーン編集部 愛垣)
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