秋、お彼岸のころに咲くことからその名がついたといわれるヒガンバナ。
墓地などに多く見られることから、明るいイメージを持ちにくいという方も少なくないかもしれません。が、ヒガンバナの別名「曼珠沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)」は、おめでたいことが起こる兆しとして天から降ってくる赤い花という仏教の経典が由来とか。そう聞くと少しイメージが変わるかもしれません。
ヒガンバナは、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、学名(リコリス・ラディアータ)からリコリスとも呼ばれています。日本全国で見ることができますが、実は自生ではなく、原産地である中国から、稲作ともに日本に入ってきたと考えられています。そのためなのか、日本のヒガンバナは親系統が同一で遺伝的に同じであるとされ、種ができにくく球根で増やします。
また、ヒガンバナのライフサイクル(生活環)は変わっていて、一般的な球根植物の逆といっても過言ではありません。というのも、一般的には球根植物のライフルサイクルは、
発芽→成育期(葉の伸長)→開花期→ 休眠
ですが、ヒガンバナは
花芽の発芽→開花期→成育期(葉の伸長)→ 休眠
となるからです。
お彼岸に近づいたころ出てきた花芽は、1日に10cm近く伸び瞬く間に50cmくらいになります。花が咲いても1週間くらいで枯れてしまうのですが、その後、葉が出て茂らせた状態のまま、冬を越します。そして春、光合成して球根に栄養をため込み、夏が来る前に葉を枯らし休眠するのです。他の植物が、活発に活動する時期じゃ、長く休眠しているため、栽培する際は札などの目印を立てておくといいかもしれません。
地上の花火ともいわれる華やかな花形です。群生している様子は壮観の一言。この秋、ヒガンバナの名所に出かけてみるのはいかがでしょうか。
ヒガンバナの花言葉:「悲しき思い出」「あきらめ」「独立」「情熱」
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