今回は、丘陵地の斜面のやや乾いた林内などに多く生える「ヒメカンスゲ」を紹介します。カヤツリ科スゲ属の多年草で、カンスゲに似ていてるが小さいことから命名されたようです。 漢字で“姫寒菅”と書きます。分布は沖縄を除く日本全国です。
写真は、いずれも山梨市内の森林セラピーロードである「牧丘巨峰の丘ロード」で、4月上旬に撮影しました。
この時期、ロード近辺での草花は少なく、ニリンソウやヤマエンゴサクが咲き始めている程度ですが、このヒメカンスゲは直ぐに目を惹きます。森林セラピーのお客様がいち早く見つけてくれました。 独特の黄色とめずらしい形の花ということもあって、『なんという花ですか? 落ち着いた色でホッとしますね!』『触った感じが柔らかく気持ちいいです』などと、この花を好きになる方が多いようです。
花の時期は3月下旬~4月でほかのスゲ類に先駆けて咲くことと、黄色みの強い房状に見える突出した雄小穂の葯が目立つことが人目を惹く要因のようです。ヒメカンスゲの名を告げると、『スゲってこんな可愛い花が咲くんですね! 初めて見ました』と反応が返ってきます。
一般的にスゲ属の花は地味で、咲いているのかいないのかわかりにくいのが実情です。私自身もこれまでスゲ属の花に出合った記憶がありませんでした。スゲ属への関心が薄かったからかもしれません。このロードでヒメカンスゲに出合ってから、ほかのスゲにも注意を払うようにしていますが、タイミングが合わず写真に収めることができていません。
もし、みなさんがどこかでこのヒメカンスゲを含めスゲ属の花と出合った場合は、じっくりと観察してみるることをおすすめします。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))