[セイヨウノコギリソウ]万能野郎“ヤロウ”|キク科ノコギリソウ属|エバーグリーン

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ついに梅雨に突入しましたね。日本の梅雨から夏のあいだの湿気と暑さは植物にとって大敵なので、花壇のお手入れ、植物は植え付けはできるだけ早く終わらせましょう。気温が上がるにつれて活着しにくくなり、野菜などは実付きが悪くなりますし、花ものも根がしっかり広がることができないのでひと夏を乗り越えられないままになってしまいます。

キバナノコギリソウ:小花をドライフラワーにしても良し

キバナノコギリソウ:小花をドライフラワーにしても良し

 

初夏の植物で生活にも役立つハーブを紹介しましょう。ヤロウは標準和名がセイヨウノコギリソウといいます。ヨーロッパでは古くから「兵士の傷薬」とも、俗称では英語で鼻血を意味する“nosebleed(ノ-ズブリ-ド)”とも呼ばれるほど止血や傷口を固める薬効があり文化に根付いた花です。属名をアキレアといいますが、これはギリシャ神話に登場する英雄アキレスがトロイ戦争のとき、負傷した兵士たちのために薬として用いたとも、ギリシャの医者アキレウスが薬用として最初に用いたからともいわれています。アキレスといえば、人体の箇所のなかで、踵(かかと)の腱の部分をアキレス腱といいますが、これも英雄アキレスの名前から。アキレスは勝利を目前にして敵に踵を射られて命を失いました。そのことから強者の弱点をアキレス腱とも呼ぶのです。

セイヨウノコギリソウの栽培品種、ピンクとオレンジで花色が豊富なのがうれしい

セイヨウノコギリソウの栽培品種、ピンクとオレンジで花色が豊富なのがうれしい

セイヨウノコギリソウの栽培品種、ピンクとオレンジで花色が豊富なのがうれしい

 

ノコギリソウは品種が多く、花色が豊富で開花期が長いのが栽培するのにうれしいポイントです。花色は白、黄色、オレンジ、ピンク、赤色。初夏から夏の終わりまで開花します。単体で植えるのも良いですが、コンパニオンプランツとしてバラと共に植えてやると、病害虫を防ぐ効果が見込めます。地下茎が伸びやすいので、広めの空間で乾燥気味にのびのびと栽培するとよいでしょう。

葉や花は食用になり、若葉には爽やかな風味がありますが、生長するにつれて辛味が増します。ハーブティーとして利用したり軽く茹でてサラダにいれるのもよいでしょう。花も乾燥させればハーブティーにブレンドすることができますし、ドライフラワーとしても楽しめます。

中世ヨーロッパでは悪魔を遠ざける強い魔力があると信じられていたヤロウを育てて、今年の猛暑を乗り越えませんか?

 

水戸市植物公園 宮内元子)


キバナノコギリソウ:小花をドライフラワーにしても良し