今回はネムノキを紹介します。マメ科ネムノキ属の落常高木で、北海道を除く全国に分布し、林縁や原野などの日当たりのよい湿地によく生育します。
写真はいずれも山梨市内の葡萄畑傍の里山で撮影したものです。
ネムノキという名前の由来は、暗くなると横に広がっている葉が垂れ下がり、左右の相対する葉同士が近づきます。その様子がまるで眠っているかのように見えるからとされています。
ネムノキの花はよい香りがしますので、そばを通ると気付きます。私たちが使う森林セラピーロードにもありますが、お客様の感想は『桃の香りに似ている』『とても甘い匂いがする』などが多いです。花期は7月中旬から8月中旬頃になります。
ネムノキは塩分に強いことから海岸線の防風林や街路樹などにも利用されていますので、もし出合う機会があれば、花の香りや黄昏どきの葉っぱの眠っているような様子を確かめてみてください。また、昔からネムノキの樹皮は滋養強壮・健胃・駆虫などに効くほか、心煩・不眠・打ち身などにも効用があるそうです。(『原色和漢薬図鑑』より)中国医薬では、花が“合歓花”という生薬として用いられているそうです(夏に採取したものを天日乾燥して使用)。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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