ユウゲショウとヒルザキツキミソウは初夏から夏に見られるアカバナ科マツヨイグサ属の多年草です。いずれも道端や空き地などに生えるザッソウで、可愛らしい花を咲かせます。ユウゲショウは畑や田んぼの端でもよく見かけるので、ヒルザキツキミソウと比較して湿り気のある場所を好むような気がします。見た目はさほど似ていませんが、なにかと共通点の多い2種なので併せて紹介します。セットで憶えておくとお得(?)でしょう。
ユウゲショウは南アメリカ原産で、日本には明治時代に観賞用として入ってきて野生化したと考えられています。ちいさいながらもかわいらしい花ですので、栽培されていたのも何となく納得できます。直径1cmくらいの濃いピンクの花は 、ほかの草に紛れていても見つけやすいです。おもに関東より西の地域で野生化しており、筆者の住む京都では春から秋にごく当たり前見られるザッソウです。
漢字を当てると「夕化粧」、なんとなく艶っぽい雰囲気があります。夕方頃から花が開くのでこの名前があるようですが、昼から咲いている姿もよく見ます。また、花色からアカバナユウゲショウとも呼ばれます。図鑑をあれこれ見ていると「まれに白花もある」と書かれています。筆者はけっこう探したのですが、今に至るまで白花を見つけることはできていません。
ヒルザキツキミソウは「昼に咲く月見草」という意味です。マツヨイグサ属の仲間は「月見草」の名で親しまれており夜に咲くものが多いですが、本種は昼間も咲いているのがその由来となります。
北アメリカ原産で日本には大正時代に観賞用として入ってきました。病害虫も少なく丈夫で育てやすいので、現在でも苗が出回っています。そして栽培されていたものが野生化して、日本各地で見られるようになりました(このあたりの生い立ちはユウゲショウに似ています)。野生化といっても庭に植えられている株が逃げ出して、少し離れた場所に生えているという風で広範囲にはびこっている感じはありません。
花は直径4cmくらい、花色は明るいピンクで中心に近づくにつれ白、黄色になります。可愛らしくてカラフルな花姿で庭に生えていてもザッソウ感はないでしょう。
見た目よりも、生い立ちが似ているユウゲショウとヒルザキツキミソウのお話でした。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)