山梨市内の小楢山(こならやま)とその麓で見つけた「シキミ」を紹介します。 マツブサ科シキミ属の常緑低木~小高木で、本州(宮城県以南)から沖縄の丘陵地に生えます。
花期はふつう3〜4月ですが、小楢山周辺は標高が高いので3月下旬以降です。寺社や墓地などにも植えられるといわれていますが、近辺では見かけません。近くの山に入れば、容易に手に入るからでしょうか?
シキミは日本に自生する広葉樹のなかでも断トツにフィトンチッド(芳香成分)が多く、クスノキの2倍程度あり針葉樹のヒノキよりも多いとの調査報告があります。特に葉っぱや枝がよく香ります。この枝や葉っぱを乾燥させて香の材料などに使うようです。
わたしたちが行なっている森林セラピーでは、ストレスなどによる免疫力低下で嗅覚が鈍っている人や風邪や鼻炎などで匂いを嗅ぎにくい人などに、シキミを用いるようにしています。“匂いが嗅げる”と自信を持っていただくためです。
ほかの植物の香りを含め、鼻でゆっくり呼吸することで副交感神経を優位にすることも当然含まれていますが……、シキミは樹全体が有毒ですので注意が必要です。特にタネは猛毒です。香辛料の八角になるトウシキミの実と似ており、大量に口に入れると最悪の場合死に至る危険性があります。『悪しき実』が名前の由来とされているようですが、納得ですね!ただ、口に入れさえしなければ、触れたり香りを嗅いだりすることはまったく問題ありません!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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