今回は、初冬まで実が残る「マユミ」を紹介します。
古来から弓の材料として使われており、それが名前の由来になっています。
ニシキギ科ニシキギ属の落葉小高木または高木で、北海道から九州までの温帯および暖帯の山地にふつうに生えます。一昨年紹介させていただいた「ツリバナ」も、同じ仲間です。
樹皮は写真のように灰白色で、老木になると縦に少し裂けます。
マユミとツリバナの花は5〜6月の同じ時期に咲き、小さくて目立たない淡緑色でよく似ており見分けにくいです。おもな違いは花弁が4個(マユミ)と5個(ツリバナ)だったり、総花柄の長さはツリバナの方が長いですが、花の径はマユミのほうがひと回り大きいです。実(朔果)はマユミがひと回り小さくて角張っており、熟すと四つに裂けますが、ツリバナはひと回り大きい球形で、熟すと五つに裂けます。
マユミの実を、時々ヒヨドリがついばんでいるのを見ます。ただし、実(種)は毒性が強いので人間は食べられません。新芽は山菜として天ぷらなどにします。結構、美味しいですよ。
マユミは黄葉もきれいですが、なんといっても初冬まで残った淡紅色の実が目を惹きます。前の2枚は乾徳山の10月上旬、後の2枚は西沢渓谷の11月上旬の写真ですが、実の数が多く色鮮やかなので、遠くからでも見つけることができます。葉っぱが落ちても淡紅色の「マユミ」の実がたわわに残っているのに出あうと、なんとはなしにホッとします。
寒さが身に浸みるようになる晩秋から初冬ですが、少し変った自然が味わえますよ!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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