可愛らしい花なのに、名前がそぐわない(と筆者は思う)「センブリ」を紹介します。
漢字で書くと「千振」です。「当薬(とうやく)」ともいいます。“千回振り出しても苦味がなくならない”という苦味健胃薬で、日本三大民間薬の一つです。ほかの二つは「ゲンノショウコ」と「ドクダミ」です。
リンドウ科センブリ属の一年草または越年草で山野の陽当たりのよい草地などに生え、北海道西南部から日本全国に分布します。
茎の高さは5〜20cmで淡紫色を帯びています。茎葉は長さ1~4cmの細い線形で、対生します。葉の縁は多少外側に反っています。
花期は9月中旬~10月中旬で、直径2~3cmの花が円錐状に付きます。下の写真のように花冠は白色で、5つに深く裂けます。裂片は長さ12~15mmの広披針形で、紫色の脈(すじ)が付いています。
秋の草原などでは咲いている花が少なくなり、この「センブリ」は蜜を求める昆虫などにとって貴重な花の一つであると思われます。
小さな野草なのでひざまずくなどして顔を花に近付ける必要がありますが、淡い甘い香りが楽しめます。苦味は別にしても、この小さなセンブリに自己主張の強さを感じるのは私だけでしょうか?機会があればみなさんもセンブリとじっくり対峙してみてください。感じたことなど、感想をいただけたらうれしく思います。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))