ヒマワリやジニアなど、夏の暑さにもめげず気丈に咲く植物は見ているだけで元気が沸いてきます。
今回紹介するオシロイバナも、夏のさなかに咲く気丈な草花です。園芸植物として花壇や鉢植えで楽しむこともありますが、筆者の周りで見かけるのは、道端や空き地で勝手に生えてきて野生化している、いわば「ザッソウ扱い」の株が大半です。タネがたくさんできるうえによく発芽する草花なので、野生化の原因はそんなところにあるのかもしれません。
オシロイバナは熱帯アメリカ原産の植物で、江戸時代中ごろの書物に記載されていることから、その頃には日本に渡来していたとされます。
黒くてごつごつしたタネを割ると、中に白粉(おしろい)のような白い胚乳(はいにゅう)が詰まっているので、オシロイバナと呼ばれます。筆者も子供の頃はおもしろがって、タネをつぶし白い粉を取り出して遊んでいたものです。
梅雨ごろから秋に花を咲かせてタネを作り、霜が降りる頃に茎葉(地上部)が枯れます。冬は地中に残った根の状態で過ごし、春に暖かくなると再び芽を吹きます(地域によっては寒さで完全に枯れてしまうこともあります)。以上のように毎年花を咲かせる多年草ですが、冬越しできないこともあるので、園芸では一年草扱いすることもあります。
オシロイバナは、夕方に開花して翌朝しぼみます。夕方といっても空がまだ明るい午後4時頃から咲きはじめます。一夜限りの花ですが、夏から秋の間に新しい花が次々と咲くので、開花期間が長いのです。たしかに昼間は開いている花があまり見つからず、パッとしません。夕化粧(ゆうげしょう)というしゃれた別名がありますが、これは夕方から咲き始める性質に由来します。
花色は赤、赤紫、ピンク、黄色、白などなかなかカラフルです。筆者は二色咲きの花が特に好きです。二色咲きはどれも模様が違って個性的、自分のお気に入りを探すのがとても楽しいのです。
実をいうとオシロイバナに花びらはありません。花びらのように見えている部分は大きく発達して色づいた萼(がく)なのです。
生長は早く、春に芽を出したかと思うと何回も枝分かれしながら伸びていき、わさわさと大きく茂り、大きな株では高さ1mほどに生長します。茎は細めですが節の部分だけ膝のようにふくらみます。大きく茂っても倒れたり折れたりしないのは、このふくらみが茎を補強しているのかもしれません。
いかがだったでしょうか? みなさんも夏の夕方、散歩がてらオシロイバナを探してみてくださいね。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)