夏の盛りの草原に白い花が映える「カラマツソウ」を紹介します。
和名は、花の形を芽吹き開き始めたカラマツの葉に見立てて名付けられたそうです。以前、西沢渓谷編で紹介した「ミヤマカラマツ」と同じ仲間です。キンポウゲ科カラマツソウ属の多年草で、山地帯から高山帯にかけての開けた草地に生えます。
白い花が緑の草原に目立ちます。毛や腺毛はなく、茎の長さは50〜120cmで、上部では枝がよく分岐します。花期は7〜9月で、花序は複散房状になっており白色又は淡紅色を帯びた多数の花を付けます。花の直径は約1cmで、長さ1〜2cmの花柄が付いています。
最後の写真は“ミヤマカラマツ”です。5月頃から8月まで見られます。花糸の先の方が太く「棍棒状)で、その前の写真に見られる「へら状」との違いがわかりますか? “ミヤマカラマツ”はカラマツソウより全体的に小振りで、ほかには枝の分岐が少ない、葉の裂け方(切れ込み)が深く多いなど、小さな差異がたくさんあります。
乙女湖ロード周辺の標高は西沢渓谷と同程度ですが、渓谷沿いの気象条件が高山に近いことで、育つカラマツソウに差が出たのだと推測されます。
7〜8月はどちらの花も見ることができるので、西沢渓谷と乙女湖ロードやその周辺で、それらの差異が確認できます。暑い夏、涼を兼ねて、違った自然のなかで同じ仲間の花の違いなどを探してみてはいかがですか?
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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