[コノテガシワ]意外と知られていない癒しの樹〜コノテガシワ|ヒノキ科コノテガシワ属|エバーグリーン

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住宅地の生け垣などでよく見かける「コノテガシワ」を紹介します。

ヒノキ科コノテガシワ属の常緑低木または高木で、中国大陸北部原産といわれています。江戸中期に渡来したとされ、寺院や庭園に植栽されたのが始まりのようです。

果実が付いたコノテガシワ:山梨市内里山(8月下旬)

果実が付いたコノテガシワ:山梨市内里山(8月下旬)

 

花期は3〜4月ですが、日当たりの良い温かい場所ではそれよりも早くから見られますが、雌花・雄花とも目立たないので気がつかない人が多いです。

咲き始めた雌花:山梨市内民家の生け垣(3月上旬)

咲き始めた雌花:山梨市内民家の生け垣(3月上旬)

 

5月頃に花から実へと変身します。

下部が丸味を帯びて実になりかけている:里山(5月上旬)

下部が丸味を帯びて実になりかけている:里山(5月上旬)

 

8月に入ると実の形がハッキリして、大きな物は直径1cmの球形に角を付けたような特異な形に成長します。

成長中の果実:里山(8月下旬、1枚目の写真と同じ樹)

成長中の果実:里山(8月下旬、1枚目の写真と同じ樹)

 

秋になると果実の表面にヒビが入り、晩秋には殻が開いて種子が飛び出て落花します。
下の写真はその年の花の咲き始めですが、前年の果実の殻がまだ残っています。

開ききった前年の殻:山梨市内民家の生け垣(3月上旬)

開ききった前年の殻:山梨市内民家の生け垣(3月上旬)

 

みなさんが目にするコノテガシワは1枚目の写真のように低い状態に剪定されているものが多く、果実も葉っぱなども手が届きやすいことが特徴です。一方、同じ仲間のヒノキネズコ(クロベ)などは高木になるため、実や葉を手にするには一苦労必要です。これらの果実は、地面に落ちて間もない(香りが残っている)ものを利用するようにしています。

コノテガシワはヒノキの仲間でフィトンチッド(芳香成分)が多いことから、香りを関知しやすい樹です。しかも、このフィトンチッドは針葉樹に共通する自律神経のバランスを整えてくれる効果があるといわれていますので、睡眠に不安を持っている方に嗅いでもらうと、「この香り好き!」「ホッとする」「穏やかな気分にさせてくれる」「なぜか眠くなってきた」などの感想を持たれる方がほとんどです。

5枚目の写真の前年の殻でも微かに香りが残っていますが、ふだん“自分は鼻がよくない”と自覚がある方でも、4枚目の果実の角の部分をちぎるとまちがいなく香りを感じることができます。また、コノテガシワは葉・果実・種などが昔から生薬として利用されています。さまざまな効能があるようですが、止血・下痢止め・脱毛・滋養強壮・不眠症などにも広く用いられているといわれています。

私たちが行なっている森林セラピーでもコノテガシワはとても重宝されています。ご自宅の生け垣にコノテガシワがあれば、葉っぱや実の香りを確認してみてはいかがでしょうか? いながらにして自然(植物)の癒し効果が得られるかもしれません!

 

山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))


 

果実が付いたコノテガシワ:山梨市内里山(8月下旬)