最も気温の下がる2月上旬あたりまでをやり過ごすと、一気に春がやって来ます。まだ朝晩の冷え込みが残るため、草花の芽が出てくるまでにはもう少し時間がかかります。
樹木の1番手として、「キブシ」の木を紹介します。
キブシ科キブシ属の落葉低木(高さ3~5m)で、山の春を告げる木花の一つです。
熱が逃げないように、ごく小さい塊の状態で越冬した芽が一気に膨らんできます。日当たりの良い場所では、2月下旬頃から花が見られます。写真のように、葉の出る前に3~10cmの淡黄色の総状花序が垂れ下がるので目立ちます。花が散り、周りの樹木と同じくして葉っぱが出てくると、まったく目立たなくなってしまします。
次に目を惹くのは、下の写真の緑色の実(熟すと黄褐色になる)を付ける夏からです。
花期は3~4月で、花芽が前年の枝の葉腋から出て総状花序を形成して下垂します。
北海道(西南部)から本州、四国、九州と小笠原の山地やまばらな林の内、縁に分布します。
山梨県内では山間の道でよく見かけますが、この“乙女湖ロード”はもちろん、近辺の県道沿いでも見ることができます。
和名は「木五倍子」で、「フシ:五倍子」の代用とされたことによるといわれています。
遠くは霞み、傍(そば)を通ると微かな香りとそよ風に揺れる花序が、心を和ませてくれます。総状花序時と果期での手触りの違いも、不思議でおもしろいですよ。ぜひ試してみてください!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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