山梨市の森林セラピ-といえば「西沢渓谷」が知られていますが、ほかにも駅から近い「万力公園ロード」、里山の「巨峰の丘ロード」と高原にある「乙女湖ロード」があります。
西沢渓谷に続く第2弾は、標高約1,500mにある「乙女湖ロードとその周辺で見付けた草木の花たちを紹介したいと思います。西沢渓谷では見ることのなかった深い森、草原、湿地などに自生する花が主体になります。
高原ならではの清々しい風や独特の香りを存分に感じながら散策すると、思いがけない出会いや発見があるかもしれませんよ。
乙女湖ロードとその周辺からお届けする第1弾は、「フデリンドウ」です。
リンドウ科リンドウ属の越年草で、北海道から九州までの日当たりの良い山野の林内や草原に生えます。陽の当たらないときは花片を閉じており、その状態や蕾の形が筆の穂先に似ていることから、その名が付けられています。
高さは5〜10cmと小さく晴れていないと花が閉じているので、とても見つけにくいです。写真のように晴れて陽が当たっているときは青紫色の花が目に付きます。
茎葉は5〜10mmと小さいので花だけかと思われがちですが、よく見ると花の下にやや厚めの広卵形の葉があります。裏面は、ときどき赤紫色を帯びます。
花期は4〜5月ですが、ここでは5月下旬頃から顔を出します。茎の上部に数個がきわめて短い柄を持って密集して付きます。花冠は長さが20〜25mmで5個に裂けますが、陽を浴びて平開するのが特徴です。5つに裂ける花冠の間に小さな副片があります。
写真のようにまだ緑がほとんど見られない場所に青紫色の花が散生しているので見付けられると思いますが、逆に先に述べた習性から、曇天や雨天では見つけるのは難しいかもしれません。
この「フデリンドウ」は、花の色の変化が多いのも特徴です。これらの写真の色だけでなく白色に近い“シロバナフデリンドウ”や淡紅色の“トキイロフデリンドウ”と呼ばれるものもあります。ぜひ見つけてくださいね。
↑日陰部分には、未だ開いていないものが見える↑
春の日差しをいっぱいに浴びて開く「フデリンドウ」。花の時期まではまだまだ先ですが、来年、この、春を感じさせる「フデリンドウ」を探しながら、高原の自然に触れてみませんか!知らず知らずのうちに森の癒しも得られる一日になるでしょう。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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