ご神木って日本だけ? いいえ(きっと)違います! 木を愛する人々に国境はないってことで、超番外編としてハワイのご神木を紹介します。ちなみに、ハワイでご神木という言葉が実際にあるかどうかはわかりませんが、(Sacred Treeという表現はあるみたいですが)現地で大切にされている木々をレポートしたいと思います。
今回はその第2弾「コア」の木。ハワイ島での植樹体験です。
「コア」とはハワイ語で勇気や勇者のこと
前回紹介したククイの木と同じように、このコアの木もまたハワイでは「神の宿る木」としてとても大切にされている木のひとつ。ハワイ固有の植物で、成長がすこぶる早いことでも知られている木の一種です。75年でなんと! 高さ30メートル、幹回り15メートルほどにも成長し、とても硬質になるのだとか。
そのため、この木は人々の生活で重要な役割を担ってきました。その昔は、ハワイの王族しか使うことが許されず、家具、宝石箱を作ったという歴史が残されています。今でこそ誰もが使うことができ、槍、こん棒、壷、サーフボード、カヌー、ウクレレなどのほか、アクセサリーなどでも見ることができます。とはいえ、コアの木は今も昔も神聖なもの。そのため、木を切り倒して利用する場合には、祈りと供物が必要なのだとか……。これは、木には魂や神が宿る信じるハワイ文化のひとつなのかも知れません。
コアの木を植えるツアーとは…
このコアの木はなぜかハワイでしか育たたないハワイ固有の木のひとつ。今では絶滅の危機に瀕し輸出も制限され希少価値の高い木材のひとつになっています。
そんな木を自分の手で植える体験ツアーは、Hawaii Legacy Hardwood社が行っています。植える場所は、カイルア・コナの空港から車で約1時間20分のマウナケア山の中腹ウミコア・ビレッジ。今でもハワイの自然がそのまま残るカメハメハ大王(王族)の所有地。そして、なぜかこの場に植えたコアの木の成長はすこぶる早く、植えて4年ほどで森を作るほどの大きさになるのだとか。
筆者はこの植樹に関する予備知識なしに参加。現地で説明を聞き、「あっ! モーガン(2月に亡くなった我が家のハリネズミ)の遺骨じゃなく遺針を持ってくれば……」と後悔。なんでも植樹のときには、自然に帰るものなら一緒に埋めることもできるのだそうです。今回はモーガンの想い、そして亡き父と仕事の良きパートナーだった方の想いをコアの木に託すことにしました。ちなみに、一緒に参加した方の中には実際に息子さんを亡くされた方、ハワイが好きだったご主人を亡くされた方もいて、たんなる楽しいエンジョイツアーとしてだけでなく、祈りや願いを込めたツアーであることも肌で実感しました。
とはいえ、実際にコアの木を植える場所にたどり着くまでは、小雨のなかまるでアドベンチャーツアーの様相! 四輪駆動車でコアの林のなかを駆け抜けていきます。そんなおり、亡くなった息子さんを思い植樹された男性が「天に梟(フクロウ)と鷹が舞ったんだ」と話されたそのとき、一羽の梟が鼻先をかすめたのです。何度もツアー客を案内するスタッフすらも、ほとんど目にすることがない梟。やはり、コアの木の森には何かがいると思えた瞬間でした。
ハワイでしか見られないものを見る…
beard of Koa(コアのひげ)、現地の言葉ではウミコア。ハワイでも高山の一部でしか見ることができない苔のようなものですが、これが木の幹を光るベールのように覆っていました。現地の方の話では食べることもできると。口へ含むと少し酸味のある不思議な味わい。そんなウミコアを過ぎてさらに奥深く山に入り、やっと植樹ポイントへ。
すでに穴は掘られており、ビニールポットに入ったコアに苗木が用意されていました(ツアーによってはゲストハウスで苗を選び、スコップで穴を掘る場合もあるらしい)。苗カバーを取り穴の中なかへ。このとき、隙間があると枯れてしまうので、根の周囲にはしっかり土を入れることも忘れずに。最後にイプ(瓢箪)から水を手で受けながら植え付けたコアに水を与え終了。苗木と一緒に個別認識チップ(RFID)も埋めるため自分が植えた木の成長を知ることができるのだそうです。
その後、自分の名前、植樹した日付、植樹した場所の緯度経度座標が書かれたサーティフィケート(証明書)を受け取り植樹は終了。もちろん、植樹したコアは寄付なので自分で伐採して利用することはできませんが、1本の木をハワイに植えることで、いつでもハワイが自分を待っていてくれる、そんな不思議な気持ちにさせてくれました。
(写真・取材/グリーンアドバイザー・開運文様研究家&ハワイスペシャリスト検定 上級 ふじえりこ)
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