ボダンヅルは陽当たりの良い林の周辺や、低木林に絡んで育つキンポウゲ科センニンソウ属の多年草です。茎の元の方が木質化するので樹木と間違えられやすいですが、つる性の草で、本州、四国、九州に分布します。
葉は、3枚に分れて対生します(上の写真)。
小葉は長さ3〜6cmの卵形で先が鋭く尖っています。縁は不揃いな鋸歯(=ギザギザ)があってやや固い感じがします。
8〜9月に花が咲き、茎の先や今年伸びた枝に葉が付く場所(葉腋)から3個の集散状の花序を出します。直径は1.5〜2cmの花はたくさんつき、上を向いて完全に開きます。花弁のような十文字に開いた萼片(がくへん)は4枚あって、長楕円形で先は鈍く尖っていません。乳白色で外面には灰白色の短毛が生えており、特に縁には密生しています。雄蕊(おしべ)は多数あります。
ボタンヅルの花は地味ですが、晩秋から初冬にかけてひときわ目を惹きます。
写真のように、冬枯れのなか真っ白い花のような、雪のような景色が目に飛び込んできます。黒い点のように見えるのがそう果(果実)で、長さが約4mmの卵形をしていて、そこから細い毛が出ています。花柱(そう果の柄)は長さ1〜1.2cmで長い白毛が密生しています。
ボタンヅルはクレマチスの仲間ですが、たくさんの種の花が咲き乱れる夏場ではそれほど目立ちません。葉っぱが全部落ちてしまった冬の時期に存在感を見せる植物かも知れません。
花期には淡い香りがしますが、この草の特徴は、花、そう果、葉の手触りの違いやそう果の白毛がゆるやかな風に揺れる様を楽しむことをおすすめします。
これまでに味わったことのない体験といえるでしょう!
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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