たわわに咲いたアジサイの花を、街角で見るのが楽しみな季節です。
4枚の花弁のように見える色鮮やかな部分は萼(がく)といい、これは葉の一部で、小さな粒のように見える本来の花を目立たせるために存在するので装飾花と呼ばれています。
園芸ではこの装飾花が絵画の額縁のように並んだ咲き方をする品種を「額咲き」、装飾花だけが集まって咲く品種を「手毬咲き」と呼んで区別します。
アジサイの原産地は日本。蒸し暑く鬱陶しがられる梅雨どきに、アジサイが雨に濡れているのを見るとなんだか爽やかな気分になりませんか。
アジサイは低木です。確実に花を咲かせるためには剪定せずにそのまま生長させるのが一番です。が、放っておくと花の咲く位置がどんどん高くなってしまいますので、限られたスペースの中ではそうもいきませんね。
一定の大きさに保つためにはやはり剪定が必要です。剪定する時に忘れてはいけないのが「花芽はいつ、どこにつくか」です。アジサイの場合、今年伸びる新しい枝には花芽が付きません。その下の昨年伸びた枝の葉の付け根に花芽が付きます。ということは今年伸びる枝に花芽が付くのは来年の秋、そして花が咲くのは再来年ということになります。これらをを踏まえて剪定しましょう。
おすすめの剪定方法は、花が終わった直後に花が咲いた枝を切り、咲かなかった枝を残す方法です。さらに、数年に一度は翌年の花をあきらめてばっさり株元で切り戻します。まばらに剪定すると日当たりが悪くなり樹形を崩す原因にもなるので、全体の枝の長さは常に均一になるように管理するのがよいでしょう。
翌年に咲く花芽は10月頃に完成します。9月までには剪定作業を終わらせないと、せっかく作られた花芽を切ってしまうことになるので、剪定作業は出来るだけ早く終わらせてしまうのがポイントです。
私が造園屋さんに勤めていた頃の話ですが、アジサイの花後の剪定作業を行う時に師匠から「冬の景色も考えて切れよ」と言われたことがあります。アジサイは色が抜けて茶色くなっても花が散らずに、自然にドライフラワーになって冬まで残ります。冬の景色を考えろとは「すべて切ってしまうのではなく、冬になっても楽しむ要素を残すのも良いものだぞ」ということでした。そう言われると「どれを残してどれを切ればいいのか?」と大変悩んだ記憶がありますが……。
さて、あなたはいかがなさいますか!?
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