[ドクダミ]やっかいだけど可憐なドクダミを知る|ドクダミ科ドクダミ属|エバーグリーン

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ドクダミ

ドクダミ

やっかいもの扱い

ドクダミは、北向きの庭や道路の端っこなど、湿り気のある日陰で盛大に茂るザッソウです。春から夏によく見られますが、花の咲く初夏~梅雨頃がいちばん目につきやすいです。多年草で、だいたい毎年同じ場所から生えてきます。いつもの道を散歩していると「今年もこの場所のドクダミは盛大だなあ」といった感じです。塀(へい)に沿って行儀よく茂っている場面も見かけます。塀が太陽光を遮って日陰をつくるので、ちょうどよい環境なのでしょう。

ブロック塀の際で行儀よく茂るドクダミ

ブロック塀の際で行儀よく茂るドクダミ

 

いくら引っこ抜いても生えてくるので、「やっかいなザッソウ」と思われる方も多いのではないでしょうか。いくらでも生えてくる秘密は、縦横無尽に走る地下茎の存在です。表向き全部引っこ抜いたと思っても、土中に地下茎が残っているとそこから芽を出します。細かくちぎれた地下茎の欠片からも芽を出すので、スコップを突き立てて地下茎を切断しても、株数が増えるだけです。

ドクダミの地下茎

ドクダミの地下茎

 

茎や葉をちぎると青臭さに生臭さを足したような独特の臭気を放つので、その点も嫌がられる原因かもしれません。

 

可愛らしい花

白い部分は総苞片 真ん中の黄色い部分が花の集まった花序

白い部分は総苞片 真ん中の黄色い部分が花の集まった花序

 

さんざん悪く言ったあとではありますが、ドクダミの魅力的な部分も紹介しましょう。白い花は可憐で可愛らしく、花の咲く時期は引き抜くのをためらいます。少しだけなら庭にあっても良いのでないかと、手心を加えてしまいます。

白い花びらに見える部分は「総苞片(そうほうへん)」と呼ばれる葉に近いものです。花の真ん中に立つ黄色い部分が花の本体です。めしべとおしべのみで構成された花がたくさん集まって、花穂(花序)をかたち作っています。

めしべとおしべからなるシンプルな花

めしべとおしべからなるシンプルな花

 

ドクダミと園芸

園芸では総苞片がたくさん付く「八重咲き」、葉に黄色や赤の模様が入る「カメレオン」など、鑑賞価値の高い品種が栽培されます。山野草として扱われることもあります。「ドクダミは引っこ抜くものであって、植えるものではない」と思っている方も、機会があればぜひ見てほしいです。

八重咲き品種

八重咲き品種

 

薬用や食用として

日本植物方言集成(八坂書房)」には、ドクダミの方言名が200以上掲載されています。古くから身近にあっていろいろと利用されていたのでしょう。薬用としては葉を乾燥させたドクダミ茶などが広く知られています。

食用に関しても調べてみました。『地方によっては、地下茎を水にさらし、酢みそで食べたり、みそ漬けにした、という』『若芽を摘み、天ぷらにする。高温で揚げると臭いがうすれる』(「食べられる野生植物大事典 新装版 橋本郁三著(柏書房)」より引用)などの記述が見られます。

ドクダミの天ぷら

ドクダミの天ぷら

 

味に関しては人それぞれの好みですが、若葉を使用するとさほど臭いは気になりませんでした。揚げ油と衣の味がドクダミの風味に勝ちます。

 

さいごに

ザッソウ視点だと駆除しづらくやっかいな植物です。園芸視点では花や葉の美しい品種があることがわかります。薬用視点では薬効の高い植物とされます。

みなさんも興味を持った植物をさまざまな視点から調べてみてはいかがでしょうか、きっと新しい発見があります。

ヤサシイエンゲイ 小林昭二)

 


ドクダミ