はじめに
ランの仲間「セッコク(Dendrobium moniliforme)漢字:石斛」は地面には根を下ろさず、樹木の上や岩肌に根を張って生活します。その性質を活かせば流木や板に株を付けて育てることができます。今回は入手しやすいコルク板を使った「セッコクのコルク板付け(写真下)」を作ってみましょう。
セッコクとは
セッコクは日本や朝鮮半島、中国に分布します。病害虫も少なく寒さにも比較的強く丈夫なので、はじめての方にもおすすめのランです。開花期は主に春~初夏で、白、紅、ピンク、黄色などの花色があります。葉や茎など株姿に変異が多く、様々な個体があります。
手順
- 用意するもの
- 材料
- セッコク
- コルク板
- 園芸用アルミ線(径1.0~1.5mm)
- ゴムテグス(径0.5mmくらい)
- 水ゴケ
- 道具
- ドリル:コルク板にアルミ線を通す穴を空ける
- ペンチ:アルミ線を切る、結束する
- ピンセット:水ゴケを取り除く時などに使用
- 作業の適期
新芽と根が出てくる4月~5月、暑さの過ぎた10月頃が適期です。生育旺盛な個体なら、4月に作業して10月頃には根の一部がコルク板に着生します。
1. コルクに穴を空ける
アルミ線を通す穴を3か所空けます。位置は上の写真を参考にしてください。
「1」 は吊り下げるため(以下、吊り下げ穴)、「2」「3」はセッコクとコルク板を固定
するための穴(以下、固定穴)です。
セッコクの株元にアルミ線を通して固定します。固定穴は、セッコクやコルク板の大きさに応じて位置が上下します。次の手順と前後しますが、鉢から抜いたセッコクとコルク板をあわせてみて、どのくらいの位置が安定するか確かめながら穴を空けるのもよいでしょう。
2. セッコクを鉢から抜く
鉢からセッコクを抜きます。あらかじめ鉢内の水ゴケを湿らせておくと抜きやすいです。黒ずんでいたんだ水ゴケがあれば、根をいためないよう丁寧に取り除きます。いたんだ水ゴケがなければ取り除く必要はありません。コルク板に付けやすいように、軽くほぐして根を広げます。
3. セッコクをコルク板に付ける
固定穴とセッコクの株元にアルミ線を通し、コルク板の裏側で固定します。アルミ線は茎の間を縫うように通すと、固定後も目立ちません。ぐらつかない程度に固定できればOKです。強く締めつけると茎が折れることがあるので注意しましょう。
4. ゴムテグスで縛る
コルク付けは非常に乾燥しやすいので、保水性を高めてよりよく育つように根に湿らせた水ゴケをかぶせます。根全体を薄くおおう程度でよく、厚くかぶせる必要はありません。
上からゴムテグスでぐるぐる巻きにして根と水ゴケ固定します。これで保水性を高めつつ、しっかりとコルク板にセッコクが固定されます。水ゴケは乾くと縮むので、テグスは引っ張りながら強めに縛ります。
最後にゴムテグスの間から飛び出している水ゴケをピンセットで押し込み、全体の形を整えます。
5. 吊り下げ穴にアルミ線を通す 完成
吊り下げて栽培するので、アルミ線で輪を作ってフックなどに引っ掛けられるようにします。最初に空けた吊り下げ穴を利用して、長さや形はお好みで。吊り下げ穴を大きめに空けて、S字フックに直接かけられるようにしてもよいでしょう。
育て方と注意点
完成したものは、日当たりと風通しのよい場所に吊り下げて育てます。強い直射日光下では葉が焼けるので、梅雨明け~中秋くらいまでは明るい日陰に置きます。
寒さに強いので、関西の平地では屋外で越冬できます。水ゴケの表面が乾いたら、全体にたっぷりと水をかけてあげます。肥料は必要ありません。
風にあおられて落ちないよう、フックやカラビナなどでしっかりと固定しましょう。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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