マツバウンランは、ツバメが軒下で巣を作り子育てする頃(4月中旬~5月)に見られるザッソウ(雑草)です。
私の住んでいる地域(京都市近郊)では、花壇や植え込みの中、道路脇のすき間などの身近な場所で見ることができます。少数の株がぽつんと点在していることもあれば、一帯を占拠するように群生していることもあります。
北アメリカ原産で、日本では1941年に京都市ではじめて採集されました。(全国農村教育協会 2011.日本帰化植物写真図鑑)
ウンランの仲間で葉が松葉状に細いのでこの名前があります。漢字を当てると「松葉海蘭」となります。園芸植物のヒメキンギョソウ(リナリア)は同じオオバコ科です。その点を意識して観察すると、花や草姿などよく似ていることがわかります。
茎は細くてかなり長く伸びます。高さは環境によって差がありますが、開花時で30cm~60cmくらいです。こんなヒョロヒョロした姿で倒れずよく自立しているなと感心します。花がきわめて小さいのでバランスがとれているのだと思います。花が大きいと重心が上に偏って倒れそうです。
草丈が比較的高くなるからか、開花時は案外目に付きやすくて存在感があります。植え込みを突き破るようににょっきりと茎を伸ばし、花が咲いていることもあります。
株元から地面に張り付くように伸びる茎(走出枝:そうしゅつし)を何本も出して、その先端に新たな株をつくります。群生しているものはこうやって株が増えているのかもしれません。走出枝につく葉っぱは幅があり、松葉状ではありません。
花は薄紫色で、中心が少しふくらんで白くなります。後ろ側に回ると「距(きょ)」と呼ばれる細い角のような突起があります。花の直径は大きくて1cmほどです。小さいですが、個性的な形で可愛らしいです。
今回はひょろりと長いザッソウ、マツバウンランを紹介しました。みなさんは身近に大好きなザッソウはありますか? ぜひ教えてくださいね。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)
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