日本各地には、神社やお寺をはじめ場所によってはシンボルツリーとして、願いを叶えてくれる、パワーがもらえるとされているご神木と呼ばれる木が数多く存在しています。
今回はご神木ではありませんが、番外編として八丈島のソテツの古木をご紹介します。八丈島まで足を伸ばした時にはぜひ訪ねてみてくださいね。
優婆夷宝明神社(うばいほうめいじんじゃ)のソテツ
いつ植えられたのは定かではないが、神社の方によると樹齢600年以上になるそうです。
さて、600年以上と言われてもなんか小さい! 境内のほかのソテツのほうが大きいと思いがちですが、実は境内にいくつかある大きなソテツはこの小さいソテツが伸び、その場所に根をおろしたもの。また、神社の方の説明によると、ソテツの生命力は素晴らしく台風で折れた場合にはまた同じ形に再生するのだそうです。もちろん、境内だけでなく島内にもソテツは数多く見られます。
ソテツがある優婆夷宝明神社
この優婆夷宝明神社は、創祀(そうし)年代は不詳とされていますが、ご祭神は事代主命(ことしろぬしみこと)の妃の一人、八十八重姫(優婆夷大神)とその子・古宝丸(宝明神)で、この二柱の神。島の伝説ではこのふたりにより島が繁栄したとされ、式内社で八丈島、八丈小島、青ヶ島の総鎮守になっています。ちなみに、この神社に筆者を案内してくださった島民の方も「マイ神社だよ!」とおっしゃっていました。
また、この優婆夷宝明神社のすぐそばには京都の松尾神社と関係が深いとされる場所や、京都の伏見神社に関係が深い場所もあり、各々の神社には古木といっても過言でもないほど大きなシイを見ることもできます。ちなみに、島内ではシイは八丈島の特産物のひとつになっているあの黄八丈(きはちじょう)の染めになくてはならないものなのだとか。
島内に残るソテツのエピソード
島内に数多く見ることができるソテツですが、実は悲しいエピソードが残されていました。それは、その昔僧侶慈運(じうん)が無実にも関わらず八丈島に流罪になったことと関係します。何年も無実を訴えた慈運は、ついには抗議の断食をして最期を迎えました。島民はそんな慈運を思い、墓前に二株のソテツを植えました。それから数年……、この墓前のソテツの花が咲くと江戸から赦免状が届いたことから、いつの頃からかソテツの花をご赦免花と呼ぶようになったのだとか……。
今回は東京都の亜熱帯、八丈島からソテツの古木をご紹介しました。また、島内にはゆっくり回れば半日あっても見切れないないほどの大きさの八丈植物公園もありました。ザンネンながら3月中旬まで温室には工事のため入ることができませんので、事前に確認されますよう!
エバーグリーン編集部オススメサイト
- 『優婆夷宝明神社』への行き方:八丈島空港から町営バス「大里商店前」下車、徒歩3分
(写真・取材/グリーンアドバイザー・開運文様研究家 ふじえりこ)
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