山口県萩市の農村部で暮らすわが家の裏は、竹やぶになっています。
もともとは農地だったようですが、管理する人がいなくなったために、自然と竹やぶになってしまったようです。
タケの繁殖力はすごいため、家のほうまで覆い被さってきてしまい、何度かタケを伐採しました。そのため、わが家にはタケ材のストックがけっこうあって、ふだんの暮らしの中でも活躍しています。
まず、洗濯物の物干はタケ。金属の物干竿よりも、軽いし、あたたかみが感じられて気に入っています。強度も十分です。
衣類の収納も、この通り。少ししなっていますが、折れたりすることはありません。
他にも畑の支柱に使うなど、さまざまなシーンで大活躍。
そして、感動したのは、春先の山菜採りのイベントでのワンシーン。
採取した山菜を天ぷらにして食べるときには、お皿や小鉢、ハシとして、カットしたタケを使っているんです。紙皿や紙コップや割り箸より、断然雰囲気があって、ステキでした。
しかし、主催者によれば、お金はかからないし、ゴミにならないし(自然分解するか燃やす)、これが一番実用的なのだそうです。まさにタケが身近にふんだんにある環境ならではですね。
ところで、「竹林問題」とか「竹害」という言葉を聞いたことはありますか?
かつて、タケノコや木材をとるために栽培されていた「モウソウチク(孟宗竹)」ですが、輸入品が入って来るとタケに関わっていた林業が経済的に成立しなくなりました。その結果として誰も管理しなくなったため、そのすさまじい繁殖能力で、雑木林を刈らしてしまうという問題です。
この「竹林問題」、京都府や静岡県、鹿児島県、高知県、愛媛県、そして私の住む山口県、などは特に深刻だそうです。タケの根は、横に広くはるため、崖崩れなどを起こしやすいという点も問題視されています。(Wikipedia「竹害」参照)
しかし、竹林問題は、国産のタケノコやタケ材が、人々に必要とされ、タケに関わる事業が経済的に成り立つようになったら解決されるということでもあります。
そこで、全国のみなさんにタケの素晴らしさをお伝えしたいです。山口県萩市には、タケを使ったこんな特産品もありますよ。
- タケクリエイト萩の竹製品
タケクリエイト萩は、竹林問題に対してタケの新たな可能性を模索するために、2006年に設立されました。
こちらの製品は、独自の曲げ加工、積層技術により、スタイリッシュなフォルムのタケの家具に仕上がっています。北欧のデザインが取り入れられているのだとか。
何よりすばらしいのが、軽いこと。日頃使う椅子が、こんなに軽かったらお掃除もしやすいです。
それなりのお値段はしてしまいますが、一生ものとして大事に使いたいと思えるものばかりです。
ホームページからオンラインショッピングもできます。
- 平井製簾所(ひらいせいれんじょ)の竹すだれ
平安時代から宮中で使われていた「京すだれ」を手作業で作る平井恒夫氏は、西日本唯一のすだれ職人として「現代の名工」に選ばれた方です。妻の和子さんと二人三脚ですだれを作ってこられました。全国的にも良質の萩産のマタケ(真竹)を使って作るすだれは、長く使うほど、色合いや味わいが増すのだそうです。
現代の住環境でも、マンションでカーテンの代わりにすだれを使われたり、ランチョンマットやテーブルランナーに使われたりもしています。
※ホームページはありませんが、こちらのすだれが気になる方は、ぜひ、お問い合わせください。TEL 0838(28)0108
ほかにも、全国各地でステキな竹細工がありますよね。
タケは、古来より日本人の生活に欠かせない素材でしたが、安価なプラスチックなどに置き換えられたことで、需要が減り、伐採が進まないのが現状です。
もし、竹製品を見て「いいな」と感じられたのなら、その気持ちに正直に選んでいただくことが、竹林問題の改善に貢献できことをぜひ思い出していただけたらうれしいです。
(田舎暮らし イシダヨウコ)
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