熊本で、8月の中旬から下旬ごろになると、『「ヒゴタイ」が咲き始めました』または『ヒゴタイ』が見ごろになりました』とニュースが流れます。
ニュースで取り上げられるのは、熊本県阿蘇郡産山村(うぶやまむら)にある「ヒゴタイ公園」です。
阿蘇北外輪山から、久住山につながる丘陵地帯にある公園で、遮るものなく頭上に広がる広い空の下、風に揺られ、さわさわと音を立てる草原の中で、ヒゴタイとともに季節の花を楽しむことができます。
ヒゴタイはキク科ヒゴタイ属の多年草で、日当たりが良い山野に生えます。8〜9月にかけて、小さな花が球状に固まった花は、高さは1m以上、アザミに似た切れ込みのある葉、そして茎も含めて硬いのが特徴です。
ヒゴタイは、中国、朝鮮半島南部・西日本原産で、もともと九州ではよく見られていた花でした。しかし、環境の悪化や盗掘などで数が激減し、環境省レッドリストで絶滅危惧種Ⅱ(VU)「絶滅の危険が増大している種」に指定されています。
ヒゴタイ公園のヒゴタイは、保護を目的として手厚く守られています。同時に、阿蘇久住をドライブしていると、道端や原野にポツンと花を咲かせているヒゴタイを見ることができます。これは、行政も含めヒゴタイを守る活動によるところも少なくありません。
どのような活動が行われているのかというと、例えば、環境省のアクティブ・レンジャー(自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者の指導、自然解説などを担う環境省職員)によると、道路整備の際に、雑草とともに刈り取られないようにヒゴタイを探して周囲の草刈りを行うということがなされています。
■ くじゅう地区ヒゴタイ保護活動
http://kyushu.env.go.jp/blog/2017/07/post-345.html
ほかにも、住友ゴム宮崎工場は、2005年からヒゴタイの育成を行い、近隣の小中学校とともに植栽活動を行うなど、現在も保護につとめるなどしています。
■ 企業が行っている保存活動
http://business.nikkeibp.co.jp/article/emf/20140707/268285/
https://www.srigroup.co.jp/csr/sitereport/miyazaki.html
しかし、そもそも移植しても根付かせることは難しいので、育ててみたい方は、鉢植えでタネから育てる方が良いようです。
■ ヒゴタイ(平江帯)の育て方
http://www.sanyasou-sodateru.com/saibaiaki/higotai.htm
もし、阿蘇にお出かけになることがあれば、ぜひヒゴタイ公園を訪ね、ヒゴタイとともに、周辺の環境も含めて楽しんでみてはいかがでしょうか。
- ヒゴタイの花言葉:(近縁種のルリタマアザミの花言葉):「鋭敏」「傷つく心」
(エバーグリーン編集部 愛垣)
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