とうとう秋が来てしまいました。
急に寒くなって体が冷えてしまいがち。発汗を促し、代謝を促進する生のショウガは、こんな時期にもお勧めです。そうめんや冷や奴の薬味はもちろん、殺菌作用がありますから生ものと一緒に摂るのもいいんですよ。お寿司のガリがその代表ですね。
でも、ショウガは食べるだけじゃもったいないんです。花屋には、見てもかわいいショウガの仲間、ショウガ科の花が夏に出回ります。しかし、「ショウガ科の花」といっても、ピンとこない方も多いかもしれませんね。そこで今回は、お勧めのショウガ科のお花をいくつか紹介しましょう。
暑いところが原産のお花なので、ほとんどは暑さに強い!! 長もちする頼もしいお花です。花もちの長さから考えると、決して高い値段ではないといえるのではないでしょうか。
クルクマ Curcuma
今、花屋で一番多く出回っているショウガ科の花は、クルクマです。
もともと熱帯アジアやアフリカ、オーストラリアの原産の花で、その花姿は蓮の花を連想させ、日もちのしない蓮に比較し、長い観賞価値を保つことから、近年お盆にお勧めの花としても人気が急上昇しています。色も白、ピンク、紫などがあり、大きさも小輪系から女性の手のひらくらいの花を付けるものまであり、バリエーション豊かです。
ところで、ウコンはご存知ですか? 酒酔い防止と解消に有名なウコンも実はショウガの仲間で学名はクルクマです。ひとくくりにしても良いのですが、一般的に流通しているクルクマより花の形が長いので分けて紹介しますね。
花屋ではポニチャーと呼ばれる品種がウコンの花により近いです。花に見えている部分は「苞」という皆さんの知るところのガクにあたります。苞の中をのぞくと見える小さな部分が花です。午前中に霧吹きをシュッと花の部分にかけてあげるとさらに花もちが良くなるんですって。 おためしあれ!
グロッバ Globba
東南アジアとインド原産のグロッバもまたショウガの仲間。タイの舞姫、またはシャムの舞姫とも呼ばれています。国産のグロッバは花もちがとてもよく1か月以上もつこともあるようです。一度買ったお客様はその花もちのよさを覚えていらして、毎年必ず買いに来てくださるくらいです。最近は輸入されたものも増えてきています。ピンクの部分はやはり苞。小さくて黄色いのが花です。
ジンジャー Hedychium coronarium
熱帯、温帯アジア、マダガスカル原産です。流通量はごくわずかで、出回る時期も短めですが、何といっても香りが良く、市場で見つけたら私は必ず買っています。ジンジャーの花は香りが素晴らしく、香水代わりに飾れるほど。花の寿命はショウガ科のほかの植物と比較すると少し短いとはいえ、あの香りに包まれたらきっと幸せな気持ちになれますよ。白や黄色、オレンジ色から、好みの色を選んでくださいね。
このお花はジンジャーという名前で流通していますが、ふだん私達が食べているショウガは花市場には流通していません。食べるショウガは根の部分が野菜市場に出荷されますが、花が咲くことは滅多にないそうです。
シャンプージンジャー
ハワイの先住民の先祖が持ち込んだといわれているシャンプージンジャー。膨らんだ苞の部分に水がたまり、これをシャンプーのように使うのだそう。でも、泡立つことはありませんから、整髪料のような感じでしょうか。さっぱりとした良い香りは、洗い流さずに使います。ハワイのロミロミという昔からあるマッサージのオイルとしても使われていたといいます。日本ではあまり出回ることはないので、花屋で見つけたらラッキーです。沖縄から出荷されていますよ。
さあ、ショウガ科のお花、飾って見たくなったのではないでしょうか?
ぜひ花屋に行ってみて下さいね。
(高橋植物園 高橋さやか)
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