[花束]花屋からのアドバイス<お花をもらったら>|エバーグリーン

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母の日も終わり、私たち花屋はほっと一息ついています。

今年の母の日ウィークは前半が暑過ぎて、前日は大雨、当日は寒い、とお天気に泣かされました。しかし、そんななか、一生懸命お花を育ててくださった生産者さんのおかげで、今年もお客様に素敵なお花を束ねたり、アレンジしたりすることができました。また、お客様それぞれがお母さんを大切に思っていることが伝わってきて、その想いを橋渡しすることができ、改めて幸せな仕事だなと思いました。

 

さて、お客様から、「お花をもらったけれど、どうしたらよいかわからなくて困ったわ」という相談をいただくことがよくあります。

そんなとき私は、お客様が花を大切に思ってくださっている気持ちが伝わってきてうれしいのと同時に、申し訳なく思ってもいるのです。そして、花屋がもっときちんと「花をもらった時のケアについて説明する必要があるのだな」と感じるのです。

ということで、今回は切花をいただいたときにどうすればいいのかについてお話しさせていただきますね。

 

花束をいただいたら

1. 深水につけよう

花はとても水が好きです。花束にして持ち運ばれてあなたのもとへやって来たとき、人間に例えるなら、喉がとても乾いた状態だといえます。ですから、一刻も早くラッピングを外し、水切りをして、いったん大きなバケツや花瓶で花を深水につけていただきたいのです。

水切りをする

水切りをする

水切りをしたら深水につける

水切りをしたら深水につける

2. 水切り

水の中で茎を切り戻してあげてください。必ずしも水の中でなくてもだいじょうぶですが、茎を切り戻すことは忘れずに。「切り戻し」とは、茎を2~3センチほど切って新しい切り口を作ることです。そのときに、一番大事なことは、よく切れる刃物を使うこと。切れ味が悪い刃物を使うと茎の断面がつぶれ、花が水を吸うのを妨げてしまうのです。

十分に水を吸わせたら、花瓶に移します。水位は花によって異なりますが、目安は花束の丈の1/3から半分くらい(ガーベラやヒマワリはもっと水位が低い方がよいですね)。

「束ねてあるひもを外した方がよいか?」ともよく聞かれますが、せっかくきれいな束になっていますから、何日かはそのままでも大丈夫です。

 

3. 鮮度保持剤をいれよう

切り花は鉢物と違い、切り取られた時点で栄養をもらえなくなります。しかし、花が咲くときには糖分などの栄養が必要になる種類も多いので、砂糖などの糖分を水に入れることで綺麗に咲きますよ。

ただ、糖分のみですと、花瓶の中で雑菌が繁殖しやすくなり、花が腐りやすくなります。そのため、糖分など、花が咲くために必要な栄養と、殺菌剤が適度に含まれている鮮度保持剤を使うことをオススメします。

ただし、濃過ぎるとかえって花を傷めてしまうことがありますし、薄いと効果が現れにくくなります。ですから、切り花をいけるときには、真水に鮮度保持剤を規定の濃度となるよう、希釈して入れてくださいね。

鮮度保持剤。最近は水あげ剤も出回っています。

鮮度保持剤。最近は水あげ剤も出回っています。

 

とはいえ、一度入れたら水替えをしなくてよいというわけではなく、3~4日ごとに水を替え、その都度切り戻しをする必要があります。水替えをする時に、花瓶を洗剤でよく洗い、花の茎を丁寧に洗うと花が長もちします。漂白できる器であれば、定期的に漂白するのもよいですね。

 

4. 直射日光の当たらない風通しのよい場所に飾ろう

飾る場所はとても重要です。できるだけ長もちさせたい場合は、玄関などの家のなかで比較的涼しい場所に飾るといいでしょう。

テレビの上は、熱くなってしまいますから、避けてくださいね。しかし、涼しい場所が良いからといって、エアコンの風や外からの風が直接あたると却って花を傷めてしまいますから、風のあたらない場所がお勧めです。また、極端な温度差があるような場所では花は長もちしません。その点も気をつけてくださいね。

一般的に花は、人間にとってちょっと寒いかな? という程度の温度のほうが長もちします。例外的にランなどの熱帯原産の花は、寒過ぎると変色して痛んでしまいますので、何かわからないことがあったら、いつでも花屋に相談して下さいね。

 

5. 元気がなくなってきたら

少し花に元気がないな、というときは、茎を切り戻して深水に漬けると元気になることが多いです。

それでもだめなときは「湯上げ」をします。「湯上げ」とは、しおれかけた花を新聞紙で花首を支えるようにしっかり巻き、茎を切り戻して約60〜90℃のお湯をお椀などに注いだところへ、茎元を2〜3センチほど、30秒くらい浸けて、深水にいれる方法です。こうすることで、再び水がしっかりあがります。その際、変色した部分は切り落としてくださいね。

新聞を巻いて……

新聞を巻いて……

お湯上げをします

お湯上げをします

 

花はそれぞれ寿命が異なるので、もちろん早くに枯れてしまうものがあります。それを放置しておくと一緒に花瓶に入れておいた他のお花も痛んでしまいますから、痛んだ花は見つけ次第取り除いてくださいね。

 

アレンジメントをいただいたら

  • セロファンを外して水を足そう

セロファンは花を運搬するときに風があたらないようにするために巻かれているものなので、すぐに外してください。アレンジメントの場合、運搬時にこぼれないように水をあまり入れていないことが多いので、置き場所が決まったら、すぐに吸水スポンジにかかるくらいにたっぷり水をあげてください。その後もまめに水を足すと長もちしますよ。

後の管理は花束と同じです。

 

いかがでしたか? いくつかの注意事項を守れば、花は結構長持ちするものです。蕾から開花、そして朽ちていくまでの変化を毎日見つめるのはいいものですよ。ぜひ、花とともに楽しい毎日を過ごしてくださいね。

 

(高橋植物園 高橋さやか)

水切りをしたら深水につける