5月下旬か6月上旬にかけて日本全国は梅雨入り。しとしと降る雨に気分が沈みがちですが、この季節、どこからともなくいい香りがして、思わずその香りの元を探したという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それはクチナシです。長雨が鬱陶しく感じられるなか、清涼剤のような香りを漂わせてくれます。
アカネ科クチナシ属、常緑低木のクチナシの原産地は、日本(本州西部、四国、九州、西南諸島)や台湾、中国、インドシナなどで、暖かいところを好みます。熊本在住の私にとっては、ご近所の生垣にクチナシが使われていたり、小学校に植栽されていたりするので、クチナシは、非常に身近な花木です。しかし、クチナシは少々寒さに弱いこともあって、関東以北の地域のみなさんにとっては、もしかすると珍しいのかもしれません。
クチナシの花は6~7月に開花します。花は白く、花びらは基本的に6枚で一重咲きです。最近では、園芸品種としてバラの花のような八重咲きのものを多く見かけるようになっています。しかし、八重咲きのものは、雄しべが花弁のようになっていて、実がならないことが多いようです。
クチナシという名前については諸説あるようですが、「実が開かない」=“口がない”のでクチナシといわれるようになったというのがもっともよく知られている説です。このほか、名前のイメージから「嫁の口がない」と、 “女の子がいる家には植えてはいけない”などともいわれています。
さて、クチナシには、別名を「ガーデニア」とも呼ばれる種類があります。この「ガーデニア」は、八重咲きの大輪の花が咲くように改良したもので、純白のバラの花のような姿をしています。そのため、アメリカでは、女性をダンスパーティに誘う際に贈るそうです。さらに、華やかでありながら純白で清楚(せいそ)、かつ良い香りの「ガーデニア」は、ウエディングブーケとして利用されることも多いといいます。
また、クチナシのアロマオイルは、リラクゼーション効果や抗菌効果、利尿効果などが期待できるのですが、アロマ成分を抽出することが難しいため、たいへん貴重なものとして扱われています。手に入れることがあれば、薄めてスプレーとして使用したり、アロマバスやマッサージに使ったりすると良いですね。
そして、クチナシの実。クチナシの実の色素は、“きんとん”や“たくあん”などの着色料として、よく利用されています。さらには、漢方薬として「山梔子(さんしし)」「梔子(しし)」としても用いられています。花は見たことがないという方も、意外と身近な存在なのかもしれませんね。
- クチナシの花言葉:「とても幸せです」「喜びを運ぶ」「洗練」「優雅」
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(エバーグリーン編集部 愛垣)
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