ヨーロッパから始まったキリストの生誕祭は世界中に広まり、私たちの暮らしの中にもすっかり根付きました。しかし日本のクリスマスは、宗教的なそれとは違って、多くの人がそのムードを楽しむといったものですね。家族や仲の良い友人と集まってプレゼントの交換をしたり楽しく食事をしたりするのは良いものです。機会が何度でも行いたいくらいです。
さて、クリスマスの飾りにもちゃんとした意味があります。それに則ってご自分のおうちや教会を素敵に装飾されている方もおられることでしょう。今回は少し趣向変えて、日本のお正月を飾る松の枝を使ったクリスマスの飾りとその後直ぐにやってくるお正月の飾りを作ろうと思います。
私はこうしていつも同じ松を使って年末からお正月へと作り替えて楽しんでいます。飾り方には決まりはありませんから、クリスマスらしい……、あるいはお正月らしい……、ご自分らしい手作りの飾りをしてくださいね。お子さんがいらっしゃるご家庭なら、ぜひご一緒に作ってみてください。きっと素敵な思い出になりますよ。
どの松を使ってもいいのですが、花屋さんで手に入りやすい「荒神松」が扱いやすいと思います。
用意するのは長めの「荒神松」が3本。松は切ってあってもひと月ほどはきれいな状態でいてくれますので、12月に入ってすぐに買って来たものでも、お正月が終わる頃まで十分だいじょうぶですよ。
中心にはサンゴミズキを1本芯として立てていますが、他の物でもよいと思います。松の枝を逆さまにして、麻ひもなどを使って芯棒に留めつけるとクリスマスツリーのような形が出来上がります。
宗教的なお祝いでなくても、私はこの1年を振り返って感謝したいことがいくつあるのか自分の心に聞いてみます。ツリーに飾るのは庭に咲いてくれた薔薇の花弁だったり、お誕生日のプレゼントを包んであったリボンだったり、遠くに住むお友達がはるばる送ってくれたライ麦の穂やきのこ、木の実や薬草だったり……。ドライにしておけるものであれば1年を通してその都度お日様に干して取っています。
今年の心豊かな思い出を一つひとつ留め付けていきます。
「今年1年ありがとう」
12月25日のクリスマスが終わった途端に世の中はいっぺんにお正月ムードに変わります。さてさて我が家もお正月を迎える準備をいたしましょう。
クリスマスのために作った松のツリーの飾りたちを外します。そして芯棒に留めつけた松は解かずにそのまま使います。芯棒は適当に短く切って壁掛け用の板を作り留めつけます。まだまだ松はきれいで元気な状態です。
松のボリュームに合うように日本のお正月らしい飾りを取り付けていきます。金銀の水引や紅白のしめ縄などは定番ですが、お好きな感じにレイアウトをしてみてください。松の根元には南天や千両の実、また艶やかな花を飾る場合は茎の先端に水を含ませられるようにしてそれを留めつけます。松を触っていると松脂で手が汚れることがあります。そのときはアルコールや除光液で落としてくださいね。
クリスマスのお祝いにもお正月のお祝いにも、同じように「永久の願い」が込められています。松にはその薬効成分からもまた常緑樹ということからも不老長寿の象徴として使われることが多いようです。松を使ったクリスマスからお正月への装飾をどうぞお楽しみください。
(山口マユミ)
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