初めまして、千葉大学花卉園芸学研究室の修士2年任倩玉です。
将来、花卉園芸業界で活躍するためには、植物の学名や科名、日本語の名前などを覚えることが不可欠だと思い、現在「花産業必修1000属検定」を勉強中です。植物には人の心を癒す力があります。多くの方に植物のその魅力を伝えるために、エバーグリーンポストで記事を書かせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
小さな花を咲かせる多肉植物
最近、よく耳にする多肉植物。サボテンやトウダイグサ科の植物などに代表される、肉厚な茎や葉に水を貯めることのできる植物の総称です。
今回は、その中からトウダイグサ科ユーフォルビア属の半耐寒性多肉植物であるハナキリン(学名:Euphorbia milii)についてお話ししたいと思います。
トウダイグサ科ユーフォルビア属には、冬の定番植物であるポインセチア(学名:Euphorbia pulcherrima)のような常緑低木だけでなく、ハナキリンのような小さな花を咲かせる多肉植物もあるんですよ。
ハナキリンをよく見てみると、葉腋から花茎が1本伸び、その3cm~4cmのところでまた2本に分枝して、花茎がY字形になっています。そして、その先に2つ美しい花を咲かせます。
ほんとの花は…
しかし、赤、ピンク、黄色、白などに色づく花びらに見えるものは、実はハナキリンの2枚の苞(ほう)で、本当の花は、苞の中心にある黄色い部分なんです。蕾から2枚の苞が展開する時、中心にある花はまだ緑ですが、苞が大きくなるにつれて黄色くなっていきます。
今、私は薄桃色のヒメハナキリンを育てています。ヒメハナキリンは、普通種のハナキリンより花が小さく、最初の苞が薄桃色に色づき苞が大きくなるにつれ、色も白っぽくなります。
ハナキリンの育て方・増やし方
そして、ハナキリンの育て方。ハナキリンの原産地はマダガスカルなので、暑さに強く、日向を好みます。冬を越すには5℃以上必要ですから、室内で管理することが必要になります。乾燥に強いので、土の表面が乾いた時に水をやればだいじょうぶです。冬に温度さえ保てれば、一年を通して開花が見られます!
花を増やしたい時には、一般的には挿し木で繫殖させます。枝を切ると、切り口から白い樹液が出るので、肌につけないようにして、切った枝を日陰で乾かしてから、土の中に挿して、発根させてください。
ハナキリンの名前の由来
英名は「Christ plant」、「Christ thorn」、「Crown-of-thorn」です。キリストがはりつけになった時、茨の冠がかぶらされたというストーリーに由来するそうです。ほかにも、2枚の苞が人の唇に似ているので、「Kiss-me-quick」というロマンチックな英名もあるんです。
植物の名前もそれぞれの国によって違うのが興味深いですね。
(任倩玉)
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