花壇の予定を立てるとき、何をメインにしてデザインしていますか? 好きな花の色や形と開花期を組み合わせて理想の花壇を作り上げていくのはもちろん楽しいものですが、残念ながら花を楽しめるのはシーズンのうちのほんの一瞬です。さてどうしよう?
そんなときオススメしたいのが葉の色や形を組み合わせるやり方です。葉の大きさや形が特徴的な植物をアクセントとして組み合わせることにより、花よりも観賞期間を長く楽しむ花壇をデザインすることができます。今回は夏〜秋の花壇にインパクト大の植物「カンナ」を紹介します。
カンナは熱帯アメリカ原産の多年草で、夏の暑さに強く栽培が容易なので初心者さん向けの植物です。白・赤・ピンク・黄色・オレンジと色が豊富で、大きい花が夏から秋に楽しめるうえに、なんといっても大きく美しい葉が魅力です。葉の色が銅葉・緑葉で、さらに模様も赤や黄色の縞斑・白の斑とファッションショーのように華やかで力強い植物です。
草丈も40㎝程度の矮性種から人の背丈160㎝程度にもなる高性種までさまざまです。葉の柄が派手だとほかの植物との組み合わせには向かないと思われるかもしれませんが、草姿がまっすぐに伸びて乱れないためにバランスが崩れず花壇の背景にしたり寄せ植えの中心に使うだけで、ギュッと空間が引き締まり視点をまとめます。
乾燥に強く、庭に地植えの場合は猛暑の干ばつのとき以外は水をやる必要はほとんどありません。ところが逆に根が水に浸かるような湿地であっても育成可能なのですからなんと優秀な植物なんでしょう!病気や害虫にも強く、根茎を分割すれば容易に増やすこともできますし、冬には落葉するので株を凍らないようにマルチングするか掘り上げて鉢で管理すれば翌年もかんたんに芽吹きます。
葉の色や形を花壇の組み合わせのメインに持ってくることで、花壇全体の観賞期間が長くなるうえに、開花した花が引き立ち空間が明るくより広く見えるようになります。単体で見ると目立ちすぎてほかの植物とケンカしそうに思えますが、組み合わせるとしっくりとまとまるのが植物の色や柄のおもしろいところです。ぜひさまざまな植物と組み合わせてみてください。
(水戸市植物公園 宮内元子)