今回は「オオヒョウタンボク」を紹介します。
スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木で、本州中部の高山(標高2,000~3,000mの森林限界付近)にだけ生息する日本固有種です。漢字では“大瓢簞木”と書き、普通のヒョウタンボクよりも葉が大きいことからこの名前が付いたとされています。
株立ち状なので群生しているように見えます。高さは人の背丈ほどです(1枚目の写真)。枝は灰茶色で四角ばった感じです。葉は下の写真のように対生し、長さ5〜14cm、幅2.5〜5cmの楕円形・長楕円形です。葉先は短く尖っています。
花の写真は載せていませんが花期は7〜8月です。花柄は15〜45mmと長く、葉の主脈に沿って伸びているのが徴です。同じように葉の上に花・実を付ける落葉低木のハナイカダと似ていますが、ハナイカダは主葉脈から直に花・実を付けるので見分けがつきます。
実は液果で、写真のように8〜9月には濃紅色に熟します。半ばで合着し、長さ6〜8mmの瓢簞状になります。
オオヒョウタンボクの実はグミなどのように美味しそうに見えますが、毒性が強いので絶対に口には入れないでください。食べられないのは残念ですが、小さな瓢簞状の実、葉裏の側脈の出っ張り、四角張った枝などの独特の手触りが新鮮で、ホッと一息つかせてくれるだけでなく元気も与えてくれます。この写真のオオヒョウタンボクは標高2,200〜2,600mの急斜面にありますが、森林限界が近づいたことがわかり「もうひと頑張りするぞ!」という気持ちにさせてくれます。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))