今回は、高山の岩石地などに生育する「ミヤマダイコンソウ」を紹介します。バラ科ダイコンソウ属の多年草で、夏場に高山の岩石地・石礫地などでよく見られます。近畿地方以北の本州から北海道と四国・石鎚山(いしづちさん)に分布します。漢字では「深山大根草」と書き、正しく高山のダイコンソウです。
写真でも明らかなように、葉は根茎から直接生えていて葉柄頂部小葉は円形で5〜12cmと大きく、切れ目が入り歯牙があります。葉の基部は心形です。
茎葉は上の写真のように小型で、柄がなく花茎を抱いています。花茎は高さ10〜30cmで数個の花をつけます。花期は7〜8月です。早く梅雨明けした今年、権現岳では6月下旬にもう咲いていました。花の径は2〜2.5cmで、小花柄には剛毛や短い軟毛が密生しています。花弁は5枚で黄色です。花弁が落ちた後も花柱は上の写真のように良く伸びて約13mmになります。
秋には、この写真のように葉・茎などが真っ赤になります。強い風が吹き抜ける急斜面の岩場など、けっこうキツい所に生えるミヤマダイコンソウですが、いつもパワーを貰っている実感があります。
夏は黄色い花と緑の大きな葉っぱが風に揺れ、“もう少しだ! 頑張れ!”と励ましてくれます。ちょっとした休憩を兼ねて、葉っぱや茎・小花柄などに触れた感触は気持ちをほっこりさせてくれるだけなく元気を与えてくれます。秋になると岩場のあちこちや急斜面全体を赤く染める草紅葉が疲れた身体を和ませてくれます。
みなさんは、このミヤマダイコンソウと出合ったとき、どのように感じるでしょう?「キツいし必死で草花など見る余裕などまったくなかったよ」というのが正直な感想でしょうか?
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))