今回は、山地や河川敷の日当たりのよい草地などで見られる「トモエソウ」を紹介します。オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草で、北海道から本州・四国・九州に分布します。
ほかのオトギリソウの仲間に比べると約1.3mと背が高く、黄色い花も大きいもので径が約5cmあるのでよく目立ち、少し離れたところからでも見つけることができます。しかしながら、トモエソウは“一日花”といわれており翌日には散ってしまうようで、株の多い群生地などでなければ、同じ場所で何日間もこの花を見ることは難しいようです。
写真は、1枚目が湖に突き出た半島の遊歩道下の急斜面で2、3枚目が渓流横の草地で見つけたトモエソウです。水はけが良く、しかも周りに湿気がある場所です。どちらも日当たりは抜群によいです。
私は原生林や険しい山々を歩くことが多いため、山野の草地に自生するトモエソウに出合う機会は稀です。しかも“一日花”ということもあり、撮った写真もほかの山野草に比べると極端に少ないです。乙女湖ロードには毎年足を運びますが、7〜8月でもトモエソウに出合えない年が幾度かあります。トモエソウは東京都ではすでに絶滅したようで、貴重な野草の一つです。
そういうこともあり、私にとってこのトモエソウの花に出会えたときのうれしさは格別です。特にハードな山歩きの登り出し(または下りてきたとき)にトモエソウを見つけられると、「祝福されている」「ラッキー!」と勝手に思ってしまいます。
みなさんはトモエソウに出合ったときどのような感想をもたれるのでしょう。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))