今回は「サンカヨウ」を紹介します。
「山荷葉」と書きます。広辞苑によると荷葉はハスの葉とありますが、私は大きさ形とも山蕗や水蕗の葉に似ていると思いました。メギ科サンカヨウ属の多年草で、北海道と本州の温帯~亜寒帯に分布し、山地~高山帯の林床に生えます。山陰の氷ノ山、北陸の白山、北アルプスの槍ヶ岳など、南アルプスの北岳など、ほか鳥海山、大雪山など、数多くの山で出あっています。
花期は5〜7月ですが、地域や高度によって咲く時期が異なるだけで開花期間は一週間程度と非常に短いため、花に出あえればご褒美だと思いましょう!
サンカヨウの白い花は、雨などに濡れると透明になるといわれています。次の写真は霧と朝露に濡れたサンカヨウですが、花に透明感があるのがわかります。本サイト(植物図鑑)の写真と比較してみてください。すっかり濡れた花は透明感が更にハッキリしますので、雨の日の楽しみの一つにしてはいかがでしょうか?
次の写真2枚はサンカヨウの実です。まだ緑色(成長中)で、実が硬く食べても美味しくありません。花が散った約1〜2ヶ月後には、米粒よりも小さかった実が長さ1.5cmくらいまで成長し、熟すと青藍色に変ります。甘酸っぱくて、私はヤマブドウに似ていると感じました。
サンカヨウは高い山に自生するので森林セラピーとして利用することはありませんが、知人や友人との山歩きで、キツい登りの後の少しなだらかで湿気の多い場所に多いのですが、幸運にも出あったときには、休憩を兼ねて花の香りを嗅ぎ、葉・茎の手触りを確かめ、熟した実を味わうことなどを勧めるようにしています。
私自身もサンカヨウと自然のパワーをもらって、その先の山歩きが楽しくできた思い出が数多くあります。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
- 前の記事を読む(名前とのギャップが大きい花)
- 次の記事を読む(湿地に春を告げるエンレイソウ)