ランタナは主に熱帯アメリカ原産の低木で、日本でも園芸植物として親しまれています。ランタナとひとことで言ってもたくさんの種類があります。園芸ではカマラ種とモンテビデンシス種(コバノランタナ)、そしてそれらの園芸品種を指して「ランタナ」と呼ぶことが多いです。
低い位置でわさわさと茂っている様子は、樹木というより草花のような雰囲気です。小さな花が丸っこく房になって咲く姿は愛らしく、筆者も庭で育てていた記憶があります(今はないので、おそらくダメにしてしまったのでしょう)。
花は春から秋遅くまで長い間咲きます。花色が徐々に変化するのも魅力のひとつで、その様子から「シチヘンゲ(七変化)」というおもしろい別名があります。
色の変化は黄から赤、白からピンクなど品種により異なります。ひと房のなかに色の違う花が混ざって咲く姿はにぎやかでかわいらしく、なんとなく得した気分にもなります(ただし、花色の変化しない品種もあります)。
筆者の住む京都市近郊では、道路脇などで勝手に生えている(と思われる)ランタナの株をちらほらと見かけます。この野生化したランタナ、やたらと元気で生育も旺盛です。よく結実するので、どこかの家庭に植えられていた株からタネが自然散布されて根付いたのでしょうか。
熟した果実は金属のような光沢があり、不思議な美しさがあります。色は青っぽい黒といいますか、正確に伝えるのがむずかしいので機会があればご自身で確認してみてください。
熱帯アメリカ原産ということで、寒さによわいのかな? と単純に考えていましたが、京都の底冷えにも耐えて年々大きく育っているので、なかなか耐寒性は侮れません。自分で育てたときはダメにしてしまったのに、この差はなにかと憤り(?)を感じます。
ランタナの野生化について調べると「世界の侵略的外来種ワースト100」に行き当たります。これは、国際的な自然保護団体により定められた生態系などに大きな影響を与える外来種のリストですが、ランタナも入っています。繁殖力については折り紙付きということです。道端で大きく茂っているのもあらためて納得です。あなたの町にも野生のランタナが茂っているかもしれません。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)