夏になると園芸店やホームセンターの園芸コーナーで、にぎやかなイラストの説明書き付きで販売される食虫植物。
虫を食べる植物と聞くと、何やらおどろおどろしい感じがワクワクさせるのか、それとも人気のゲームに出てくるパクパクとキャラクターに噛みつく植物を思い出すのか、「育ててみたい!」と思う方が多いようです。おもしろい植物を育てて、さらに部屋に入ってくるイヤな虫も減るなら一石二鳥!というところでしょうか。
植物センターへ来園されたお客様にも食虫植物は人気ですが、初めて見た方の「え! こんなに小さいの?」という感想を耳にします。こちらこそ「えっ! どんな大きいの想像していたの?」とびっくりしてしまうのですが、まさかみなさん、人間の足に噛みついて逃げられなくしてしまう怪獣のようなサイズを想像して……、なんかいませんよね?
さて、人を魅了してやまない食虫植物。いったいどうやって育てるのでしょう。
大切なのは日当たりの良い置き場所です。部屋の中の虫を捕って欲しいからと、室内の台所や浴室など、自然光の入らない場所へ置いてはいけません。そもそも食虫植物は、光合成で養分を作りだし生長します。捕虫するのは、植物が生えている土地の土壌が痩せていることが多く、根からあまり養分を取れないからです。虫を捕えて養分にしなければ枯れてしまう訳ではなく、あくまでも重要なのは光合成です。食虫植物を管理する時には、しっかり光合成が行える日当たりの良いベランダや窓辺に置くことが重要なのです。
もう一つ重要なポイントがあります。それは「さわらない」こと!
どうやって虫を食べるのか、どうやって動くのか見てみたい気持ちは分かります。しかし、食虫植物の捕虫器は葉の一部が進化したもので、ほかの植物と同じように、人間が引っ張れば破れたりちぎれたりします。また、酷使すると植物が弱ったり枯れる原因になります。
特にハエトリソウは、開いた葉の内側に生えた3本の毛に触れると葉が閉じますが、何度も開いたり閉じたりさせると葉自体が衰弱して枯れてしまい、さらに新しい葉芽ができるのに追いつかずに枯れてしまうことがよくあるのです。植物園でも大人気の食虫植物。お子さんに「さわってみなよー」と促す保護者の方がおられますが、それはルール違反です。くれぐれもさわらずに見るだけで楽しんでくださいね。
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