暑い夏、夕方になると花を咲かせるオシロイバナ。子どもの頃は、花の後の種をとってはつぶして、白い粉(胚乳)を顔や手に塗って遊んだものです。実際に江戸時代には、白粉(おしろい)の代用品として使われていたことに因んで「オシロイバナ」という名前がついたようです。
イギリスや中国では、オシロイバナの咲く時間から名前がついています。同じ夏に咲くアサガオが朝咲いてお昼前にしぼむのに対して、オシロイバナは夕方に花が開いて翌朝にはしぼんでしまいます。そのため、英名では“four o’clock flower”、つまり4時の花ですし、中国では、入浴の時間に咲くから“洗澡花”、夕飯を作る時間に咲くから“煮飯花”と呼ばれているそうです。
また、正岡子規が「一つ木におしろいの花の黄と赤と」と詠んでいるように、オシロイバナは、同じ株に、ピンクや黄色、白など、複数の色や絞りや斑入り模様の花を咲かせることがあります。学名であるラテン語の“Mirabilis”(不思議)は、このことに由来しているともいわれています。
花の名前にお国柄が表れているようでとてもおもしろいですね。
そういえば、子どもの頃、オシロイバナの花(花びらに見えますが実は萼です)をもんでできた色水で、半紙を染めたことを思い出しました。半紙の折り方によって浮かび上がる模様が違うのが楽しくて、友達と競ってさまざまな色の花を探したものです。
夏休みの宿題に、オシロイバナの花の色水で、半紙を染めたり、絵を書いたりするのもお勧めですよ。オシロイバナの花が開くのは、暑い夏でも夕方から翌朝までの涼しい時間帯です。お子さんとお散歩がてら、さまざまな色や模様の花を探してみてはいかがでしょうか。
あなたが見つけた珍しいオシロイバナの写真をぜひエバーグリーンに投稿してください。
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(エバーグリーン編集部 / たなかみえ)
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