日本各地には、神社やお寺をはじめ場所によってはシンボルツリーとして、願いを叶えてくれる、パワーがもらえるとされているご神木と呼ばれる木が数多く存在しています。今回は、木ではありませんが明治神宮の御祭神ゆかりの花としても知られている花菖蒲をご紹介します。
明治神宮御苑の花菖蒲
花好きの方はご存じ、明治神宮御苑では毎年5月~6月にかけてハナショウブが美しく咲き誇ります。5月は9時から16時30分、6月は8時から17時まで開苑しています。御苑維持協力金として入苑料は500円。苑内にはめずらしい江戸系のハナショウブを見ることができます。このハナショウブは明治から美しい花を保もたれているとされ、著者が訪れた(本年6月12日)はすでに満開で、国内外から多くの人が訪れていました。
ハナショウブってどんな植物?
漢字では花菖蒲と書きますが、菖蒲はショウブともアヤメとも読むことができます。そのためこの苑内にもショウブ(菖蒲)、アヤメ(菖蒲)、カキツバタ(杜若)、ハナショウブ(花菖蒲)という看板があります。ちなみにこの看板によると、端午の節句に飾るショウブは葉にツンとした香りがあり花は小さなものでサトイモ科とされているもの。
カキツバタは水辺に多くみることができ、アヤメは乾いた地でも見られるもの。そしてハナショウブは水辺ではなく湿地で見ることができるとされています。苑内のハナショウブは根元に水が湿る程度で管理されています。ちなみには、英語ではIris Garden(アイリスガーデン)と表示されています。
明治神宮御苑は花菖蒲以外にも見どころあり
この御苑のハナショウブは、明治26年(1893年)に明治天皇が昭憲(しょうけん)皇太后をいたわるために植えさせたものです。それは江戸系と呼ばれるもので、現在150品種1500株があります。なかには、江戸時代に菖翁(しょうおう)とも呼ばれた松平定朝が作出したとされるものも見ることができます。
ここが都会であることを忘れてしまいそうな森の中に美しく咲き揃う花菖蒲は、時を忘れて眺めていたくなるものでした。もちろん花菖蒲だけでなく、この時期は南池にはスイレンの花を見ることもできました。また、苑内にはパワースポットとしても知られている清正井(きよまさのいど)があります。この苑内の花菖蒲が美しいのは、清正井から湧き出た水によって育っているからだとも言われています。
花菖蒲の時期は……
この時期フォレストテラス明治神宮では、期間限定のメニュー「花菖蒲御膳」(5月25日から6月23日)を楽しむこともできます。
- 『明治神宮』:東京都渋谷区代々木神園町1−1
(写真・取材/グリーンアドバイザー・開運文様研究家 ふじえりこ)