植物図鑑
ハナショウブ
アヤメ属
ハナショウブ
学名:
Iris ensata var. ensata
〔基本情報〕高さ50~100cmほどになる多年草。
野生種であるノハナショウブから改良された園芸種。
葉は直立し、扁平な線形、全縁です。中肋は太く、はっきりと隆起します。
花茎も直立します。
外花被片の基部中央が黄色を帯びます。
多くの園芸品種があり、花色の変化に富みます。
花形は、外花被片が大きく、内花被片はあまり発達しない三英咲き、外花被片・内花被片とも発達した六英咲き、八重咲き、玉咲き、爪咲きなどがあります。
〔来歴〕江戸時代中期に園芸的に育成されはじめたといわれ、品種の育成地によっておもに次の三系統に分けられます。
江戸系:地植えで群生させることを目的として改良された系統。一般に高性で性質が強く、花形は・色彩とも変化に富む。
伊勢系:鉢栽培を目的として改良された系統。草丈が低く、花茎は葉と同じくらいの高さ。おもに三英咲きで外花被片が縮緬状に波打って垂れるものが多い。
肥後系:鉢植えを座敷に置いて観賞し、横から見た姿が美しくなるよう改良された系統。草丈がやや低く、おもに六英咲きで花被片が重なり合って垂れるものが多い。
これ以外に長井古種という山形県長井市にある品種群や外国で育成されたもの、種間交配により育成されたものなどがあります。
〔栽培〕増殖は株分けや実生によります。
日当たりを好み、極端に乾燥しなければ特に場所は選びません。
開花期以外は株元が水につかるのは避けます。
つぼみが出て開花するまでの間は乾燥しないように十分に水を与えます。この時期は鉢植えであれば腰水をしてもよいです。
肥料は早春の発芽するころ、開花後、秋の三回有機質の肥料や液肥を与えます。
連作を嫌うので地植えの場合は開花後に株分けと土壌改良をおこないます。鉢植えも毎年植え直すのがよいです。
病虫害は特にありませんが、ヨトウムシやメイガ、また乾燥が続いた場合の赤ダニに注意が必要です。
〔備考〕端午の節句でしょうぶ湯に利用されるのは、サトイモ科のショウブです。