しょかの今回は、落葉広葉樹林の中で見られる「ユキザサ」を紹介します。
キジカクシ科ユキザサ属の多年草で、雪にたとえた白い花と、よく似た葉っぱから“雪笹”の和名がついています。北海道から、本州、四国、九州と日本に広く分布します。
地下にある根茎(径4〜7mm)は横に這います。
丸い茎は高さ20〜70cmほどになり、条線はありません。茎は地上から直立して、上の方はやや斜めに傾きます。そして、長さが6〜15cmほど、卵状の長楕円形をした葉は茎の上部に互生し、先は鋭く尖ったものが多く、その基部は円形または切り方形で、まるで茎から直接出ているように見えます。葉の両面、特に裏面の葉脈上に粗い毛が多く見られます。
花が咲くのは5月中旬〜7月で、茎のいただきにたくさんの花が集まった円錐状の花序を付けます。
花序と長さ5〜10cmほどの花柄には粗い毛がたくさん付いています。花被片は6個、白く、長楕円形をしており、長さ3〜4mmほどです。平たく開くのがユキザサの花の特徴です。
花被片より短い雄蕊(おしべ)は6個あり、雌蕊(めしべ)の花柱は約1mm弱で柱頭は丸いか浅く3つに裂けています。
上の写真は赤く熟した直径5〜7mmほどの球形の液果ですが、実は実のでき始めるころからこの大きさになるまでの間は緑色をしています。
この「ユキザサ」は落葉を押し上げるように緑色の芽を出し、生長します。本来の形、大きさに葉っぱが形成されると、一番上の茎の先に花芽がつき、やがて花が咲きます。そして9〜10月には写真のような実を付けます。
春先から晩秋まで観察を続けることで、新しい発見ができるユキザサ。花期には香りを楽しみ、同様に葉・茎・実などの触感を楽しむことをお奨めします。
(山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))
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