[江戸の園芸]イベントレポート:江戸の園芸文化と園芸熱|エバーグリーン

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この春、園芸大国・日本の、園芸の歴史に触れることができる展示会が行われていましたのでそれを紹介します。

 

『徳川三代将軍から、大名・庶民まで、花開く江戸の園芸文化』…アンコール展示

最初は、2019年1月17日から3月1日まで、日比谷公園内みどりのiプラザで開催されていた『徳川三代将軍から、大名・庶民まで、花開く江戸の園芸文化』

会場入り口

会場入り口

 

ある意味で「学校では教えてくれない歴史」そんな感じもしますが、実は今につながる園芸技術は江戸時代に生まれたのではないか……とも思える内容の展示でした。実際の草花がずらりと展示されているワケではなく、そこにあるのは当時の世界観満載の浮世絵なのですが、今と変わらないほとばしる園芸熱、園芸愛を知ることができました。

 

たとえば、植木鉢。いまでは、海外のテラコッタや素焼き鉢など、シンプル・イズ・ベストと言わんばかりですが、展示されている植木鉢は染付が施されたりする美しいものばかり。もちろん、今でもオモト(万年青)などの世界では様々な鉢が残されていますが、とにかく筆者の大好きな和の文様満載の鉢を見ることができます。

ちなみに、鉢は、もとは仏教用語だということにはちょっと驚いてしまいました。また、展示されている様々な鉢は、実際に浮世絵の中でも見ることができ、当時の人々が鉢花を大切にしていたことがわかります。また、浮世絵の中には寄せ植えを楽しんでいるものもあり、あれ、寄せ植えって昔からある楽しみ方のひとつだったことを改めて知りました。

 

ほかにも、人気がではじめた変化アサガオが描かれている「あさかほ叢」なども展示され、今よりも優れた園芸技術が当時はあったようにも見受けられます。そのほかにも、園芸は日常生活の中だけではなく、なんと歌舞伎の世界にも根を広げ、舞台にも鉢植えや植木売りが登場していたことがわかる浮世絵なども展示されている他、とにかく植木に関する史実を目にすることができる興味深い展示会になっていたことを報告します。

 

『江戸の園芸熱』…浮世絵に見る庶民の草花愛

そして、もうひとつはたばこと塩の博物館(東京都)で2019年1月31日から3月10日開催の『江戸の園芸熱』です。

会場入り口

会場入り口

展示:江戸の園芸文化に貢献した大名・旗本と重要人物

展示:江戸の園芸文化に貢献した大名・旗本と重要人物

展示物

展示物

展示物

展示物

 

こちらも江戸時代の園芸文化を中心に見ることができる展示会です。なにゆえに、人は花を愛するのか…。そして、江戸時代になぜ園芸がここまで広がりを見せたのか、その秘密をひも解くことができる内容になっていました。

展示によると、江戸の園芸文化は、徳川三代の花癖から影響したとされています。そういえば、野村萬斎主演の戦国時代劇映画『花戦さ』を思い出さずにはいられない内容になっていました。なぜ、日本庭園が各地にあり、城跡などには花のみごろには目を奪うほどに美しい花を咲かせる場所が残されているのか…そんな疑問を解決する手がかりにもなることでしょう。

 

(グリーンアドバイザー、グリーンアドバイザー東京理事 ふじえりこ)

展示物