拙宅の庭の小さな花壇にローズマリーが一株、育っています。数年前に買い求めて植栽したものですが、病気や害虫もなく元気です。
ふとしたきっかけで「育てているだけではもったいない。ぜひハーブとして利用してみよう!」と思い立ち、いろいろ試してみることにしました。利用するといっても用途はたくさんありますが、今回は「食べてみる」というところに落ち着きました。
おはなしは、前編と後編に分かれています。前編では、ローズマリーってどんな植物か?
という説明を、後半では実際にハーブとして利用してみた記録を綴ります。みなさまにも、ローズマリーの魅力を知っていただければ幸いです。
木立性とほふく性
ローズマリーは枝が直立するタイプ(以下、木立性)と枝垂れ(しだれ)たり這うように伸びるタイプ(以下、ほふく性)があります。拙宅のローズマリーは枝が枝垂れるように伸びます。場所が狭いことを考慮して木立性の苗を買い求めたはずですが、どこでどう間違えたのか、ほふく性の苗を植えてしまったようです(苦笑)。
最初は上に伸びていましたが、生長して枝数が増えてくるにつれ枝垂れるようになりました。
育つと高さ1mを越すので花壇の後方に植えましたが、ほふく性なので花壇を覆うように他の領域まで広がってきました。株元に植えたバジルなどが影になって育たなくなるので、昨年(2018年)の夏頃に一度切り戻しました。枝にハサミを入れるたび、樟脳(しょうのう)のような、クセはあるけど清涼感たっぷりの香りがあたりに漂います。
そういえばこれってハーブとしても利用できるんだったな、と思い出しました。このときの記憶がきっかけで実際にハーブとして使ってみることになるのですが、それは後編のおはなしです。
案外そのあたりで見かける
筆者にとってローズマリーは「そのあたりに植わっている、ちょっとしゃれた木」という感じで、ハーブのイメージがあまりありませんでした。実際そのあたりを散歩すると、公園などで植え込みに利用されているほか、街中で生垣風に仕立てられているものや、半ば野生化したような株も見かけます。みなさまのご近所にも案外植わっているような気がします。
こんな植物
ローズマリーは地中海沿岸が原産の常緑性低木です。ツヤのある緑色の細葉が枝を密に覆い、冬でも青々としています。高温多湿にはやや弱いですが、その点を考慮に入れても比較的つきあいやすい植物だと思います。
秋~春の花が少ない時期に花を咲かせるのもポイントが高いです(四季咲き品種もあります)。花色は濃いブルーから淡ブルー、ピンク、白などがあります。個人的には淡く透き通ったブルーの花のものが基本色という感じで好きです。
葉に斑の入るものやコンパクトにまとまるものなど、様々な品種があります。トスカナブルーはよく知られる品種で、生長が早くて香りがよいので料理に利用されます。
後編ではローズマリーを食べてみます。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)