日本各地には、神社やお寺をはじめ場所によってはシンボルツリーとして、願いを叶えてくれる、パワーがもらえるとされているご神木と呼ばれる木が数多く存在しています。これは、運気、邪気、勇気、弱気、強気などの“気”と“木(樹)”を掛ける語呂合わせだったり、願いを叶える力もあると信じられているからでしょう。
今回は、多肉植物の聖地でも知られている錦玉園への取材の合間に立ち寄った長野県佐久市にある鼻顔稲荷神社(はなづらいなりじんじゃ)をご紹介します。この鼻顔稲荷神社は四百年余前の永禄年間、京都伏見稲荷から勧請された神社。岩村田の商店街の東側を流れる湯川の断壁に建てられ、佐久地域を代表する稲荷神社のひとつ。諸説様々ではあるが、日本五大稲荷のひとつともされています。
鳥居をくぐるとすぐ!
ここ、鼻顔稲荷神社のご祭神は宇迦之御魂命(ウカノミタマ)、猿田彦命(サルタヒコ)、大宮能売大神(オオミヤノメ)の三神。天下泰平、五穀豊穣・家内安全・商売繁盛・交通安全・進学成就といったご利益があることで知られています。鳥居をくぐりしばらく行くと、見上げるばかりの大樹に出会います。これが、ケヤキの木とアカマツの木が双生し1本になったとされた「相生(あいおい)の樹」があります。ご利益はズバリ縁結び!良縁に恵まれないとお悩みなら是非!といったところでしょうか。
そして、参拝も…
せっかくだからと、参拝に。しかし、ここ鼻顔稲荷神社への御参りは断崖絶壁に建てられていることもあり、朱塗りの柱をくぐりながら坂を登った場所に、懸崖造りの社殿があります。歴史を感じさせる社殿の前には大きなお稲荷さまもあり、とにかく由緒正しき場所であることを感じさせてくれました。
ちなみに、江戸時代から明治の初め頃まで、主に女性が遠方から参拝に来て「おこもり」(お籠り)という風習があったようですが、風紀上の懸念から役所が禁止令を出したという歴史もあった場所なのだとか…。
また、境内で筆者が初めて目にしたのが、枝垂桑。文字通りヤナギのように枝が枝垂れている桑で、長野県では街路樹などのも使われているとのことでした。
ちなみに、鼻顔稲荷神社のお祭りは毎年2月11日の「初午祭」。参道に新しいだるまを買い求める参詣者や、縁起物を売る露店でいつもはひっそりとしている参道も賑わいを見せるのだとか。
天然記念物の「ヒカリゴケ」の観察できる場所も近くに。
神社からさほど遠くない場所には、天然記念物の「ヒカリゴケ」と出会うことができる場所もあり。急ぐ旅でないなら、是非立ち寄るといいでしょう。洞穴の中に緑に輝くヒカリゴケは神秘の世界そのものでした。
- 『鼻顔稲荷神社』への行き方:小海線岩村田駅(JR)より徒歩15分
(写真・取材/グリーンアドバイザー・開運文様研究家 ふじえりこ)