ハンゲショウは梅雨の後半ごろに花を咲かせるドクダミ科の多年草です。細長い花穂に花びらのない小さな花をたくさん咲かせます。
花は目立ちませんが、そのすぐ下の葉っぱが白く色づき美しく涼しげな雰囲気です。湿地や水辺によく生えています。
名前の由来
暦の上で「半夏生:はんげしょう」と呼ばれる日があり(毎年7月2日ころ)、そのころに花が咲いて葉が色づくのが名前の由来とされ、実際の開花もそのころです。
名前の由来には、もうひとつおもしろい説があります。緑色の部分を一部のこして葉が白く色づく様子に由来する、漢字を当てると「半化粧」というものです。「葉が白く色づくこと=化粧をしている」「緑色の部分を残す=半分・半端」で、このような説が出たのでしょう。カタシログサ(片白草)という別名もありますが、これも半化粧と同じような由来でしょう。
何のために葉が色づく?
つぼみが付かないと葉は白く色づきません。また、花が咲き終わったあと白く色づいていた葉は緑色に戻ります。葉が化粧しているのは、つぼみができてから咲き終わるまでです。
なぜ、葉を白く目立たせるのでしょうか?
一説には昆虫に開花を教えているからだとされます。昆虫は受粉を手伝ってくれる大切なお客さんです。花が咲いているときは「営業中」の看板を出し(葉を白く目立たせ)、咲き終わったら看板をしまう(葉を緑に戻す)といった感じでしょうか。
近い仲間に北アメリカ原産のアメリカハンゲショウがありますが、こちらは葉が白くなりません。植物園などでときおり見られます。
花は地味
花は雄しべと雌しべだけの非常にシンプルなつくりです。花穂はつぼみのころ垂れ下がっていますが、咲き進むと直立します。全体が白で目立たず、特に香りもありません。
花は地味ですが色づく葉っぱで存在をアピールするハンゲショウ、いかがだったでしょうか? 植物は生きるための戦略が多彩だなあと、感心させられます。
(ヤサシイエンゲイ 小林昭二)