日本各地には、神社やお寺をはじめ場所によってはシンボルツリーとして、願いを叶えてくれる、パワーがもらえるとされているご神木と呼ばれる木が数多く存在しています。これは、運気、邪気、勇気、弱気、強気などの“気”と“木(樹)”を掛ける語呂合わせだったり、願いを叶える力もあると信じられているからでしょう。
そこで今回は、その木の下から湧き出す水で美人になれるとウワサされる『いぼとりの水』がある東漸寺(とうぜんじ)をご紹介します。
ご神木の『スダジイ』と『いぼとりの水』
境内には『いぼとり不動』と呼ばれるお不動さまがあり、そのすぐ後ろには大きなスダジイがあります。このスダジイの樹齢は約300年で夷隅(いすみ)町指定の天然記念物になっています。なんとも風格のあるスダジイです。
そして、この木のすぐ下からは湧き水が湧いています。これが、美人になれるとウワサされる『いぼとりの水』。飲むことはできませんが、カラダの気になるところにつけると病がよくなると言い伝えられており、心の中にある悪いこと(イボ)まで取り去るとして、最近は持ち帰る人も少なくないとか。
ご住職にお話をうかがったところ「前の住職はこの水を使ってお風呂に入っていたからとても肌がキレイでした」とのこと。また、地元の方の話では「知り合いがさぁ、一度足を洗っただけなのに水虫が治ったらしいよ」「口をすすいだら口内炎がよくなった」「ニキビに効くらしい」などと、お肌のトラブルに効果を発揮しているというハナシ。試しに筆者がこの水をお風呂に注いで入浴してみたら、あら不思議! 温泉のようにカラダが芯から温まり、さらに冷めにくい……。これはまさにご神木・スダジイのお力なのか!? と思ってしまうほどでした。
スダジイについて調べてみると……
そこでスダジイについて少し調べてみました。スダジイは日本では雑木林を形成している代表的な樹木のひとつ。そして、昔から山の神や祖霊(それい:先祖の霊魂のこと)、そして勧請(かんじょう:神仏の来臨を願うことと)した神の依代(よりしろ:神霊が寄り付くもの)としても知られ、大木や老木になると御神体として扱われています。
また、玉串に使うサカキの代用として神事に使われることから魔除け、悪魔祓いの効果があるとされているのだとか。となるともう、スダジイに宿ったパワーが水となり『いぼとりの水』になったとしか思えません!
いぼとり不動明王は、海中から出現したお不動様
『いぼとりの水』がある東漸寺の石仏のお不動様は、漁師の亀田作右衛門の網に掛かり、海中から出現したもの。持ち帰り御参りをしていたものの異様なことが続き、お寺に預けられることに。その後、湧水が近いことから「いぼとり不動」「心のイボを取るお不動様」「病治しのお不動様」と親しまれるようになり、毎月28日には護摩祈祷(ごまきとう)が行われているのだそうです。
境内の中で見つけた「華の筒みくじ」
なんと可愛い花の文様の筒に入ったおみくじです。なかにはおみくじと一緒に、お守りにもなる水引きでできた花が入っているそうです。ちょっと珍しいキュートなおみくじなので、『いぼとりの水』を持ち帰る際に境内にも立ち寄り、このおみくじを楽しんでみるのもよいのではないでしょうか。
エバーグリーン編集部オススメサイト
- 『蓮宗 福台山 東漸寺』への行き方:いすみ鉄道線 新田野駅 徒歩10分
(写真・取材/グリーンアドバイザー・開運文様研究家 ふじえりこ)
- 前の記事を読む(岩場に生えるうちわ状の野草)
- 次の記事を読む(着生ランってなに? 覚えておきたい寄生と着生の違い)