神社やお寺をはじめ、場所によってはシンボルツリーのひとつとして日本各地には、願いを叶えてくれる、パワーがもらえるとされているご神木と呼ばれている木が数多く存在しています。これは、運気、邪気、勇気、弱気、強気などの“気”と“木(樹)”を語呂合わせや、願いを叶える力もあるからでしょう。特に、大樹や古木には、木霊と呼ばれる精霊が宿り、不思議な力を持つともいわれています。今回はご神木ではないのですが、医王寺≪福島県福島市≫にある古木を紹介します。
福島市指定の天然記念物「シラカシ」
医王寺は、正式には瑠璃光山医王寺といいます。ちなみに、薬師如来の別称が「医王」であることから寺号として、平安時代の天長三年(826)に開基されたお寺です。
本堂本尊には大日如来、薬師堂本尊は弘法大師御作の薬師如来がまつられ、地元では古くから鯖野薬師と呼ばれ親しまれている場所です。そんな医王寺に300年になるシラカシがあります。東北地方でこれだけ長く生き続けているシラカシは珍しいため昭和41年に福島市指定の天然記念物にされました。また、樹木で木が強靭であることから寺社の周囲などでもよく目にすることができます。シラカシの果皮や実(ドングリ)は民間療法としても使われていたという歴史もあることから、その昔は、人々の食や薬として役立っていた歴史があるのもしれません。
シラカシを眺めながら、医王寺へ。境内には、花木も多く花の季節に来れば、美しい景観を楽しむことができたのに……そんなことを思いつつ薬師堂へと向います。
花粉症の人にとってはちょっと困りものの杉ですが、ズラリと並ぶ杉林はやはり美しく目の保養になります。杉林の中をどんどん進むと薬師堂があります。
この薬師堂には、あの松尾芭蕉の歌碑が残されています。芭蕉は、元禄二(1689 )年5月、『奥の細道』の途中にこの場所に立ち寄り、奥州藤原氏の一門であった佐藤基治公のふたりの息子(継信と忠信)が、源義経の身代わりとして壮絶な最後を遂げたことを偲び、『笈(おい)も太刀もさつきに飾れ紙のぼり』と詠んだのです。
椿が蕾のまま落ちてしまう訳
薬師堂の奥には、ふたりの息子を失った乙和御前の深い悲しみと母情が宿ったという『乙和の椿』と呼ばれるツバキの古木を見ることもできます。そしてこのツバキは、不思議なことに花が咲くことなく蕾のまま落ちてしまうのだそうです。
また、この医王寺内には日本古来のアジサイが約650株植えられ、季節には美しい花を見ることができる他、本堂に境内には約樹齢310年のサルスベリも見ることができ、ふくしま緑百景のひとつとなっています。
ご紹介した『乙和の椿』にまつわるお話では、二人の息子の死を悲しむ乙和御前のために、継信と忠信の妻たちは夫の甲冑を着装し、勇ましい武将の姿で乙和の前に現れ「ただいま元気で凱旋しました」といったエピソードも残されています。
今回はご神木巡りの番外編として、医王寺のシラカシとツバキをご紹介しました。今後もいろいろな場所を巡ってご神木や古木などについてお伝えしたいと思います。ちなみに、筆者が伺ったときには、≪いい電で ぶらりいいざか うまい旅!≫といったキャンペーン中だったので、飯坂温泉で「食べて」「飲んで」「温泉入浴」が2,000円で楽しむこともできました。キャンペーンの詳細はこらんしょふくしまで知ることができます。
エバーグリーン編集部オススメサイト
- 『瑠璃光山医王寺』への行き方:福島交通飯坂線 医王寺前駅より徒歩15分
(写真・取材/グリーンアドバイザー・開運文様研究家 ふじえりこ)
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