先日、山形へひとり旅してきました。
山形の花屋さんで、まん丸のアレンジやブーケを作らせたらおそらく「日本一!?」の小西克彦さんと、パリ在住で声楽家からフラワーデザイナーに転身された安蔵博さんの「第2回 飛び出せ! facebook フラワーレッスン&デモンストレーション」というイベントに参加するためです。
こちらのイベントはただのフラワーレッスンとは一味違います。全国から小西さんと安蔵さんの花に憧れるフラワーデザイナーやお花教室の講師、私のような花屋など花を仕事にしている人から、お花を趣味として習われている生徒さんまでいろんな人たちが集結し、お二人がお花を作る場面をじかに見て、また皆が交流を深めるという大きな意味のあるイベントです。
お花が好きな人なら誰しも花の写真を見る機会があると思います。しかし、写真からだけでは見えなかったり、想像できなかったりする、構造や大きさや香り、使われている花材、生産者などのさまざまなことがなかなか伝わってこないのではないでしょうか。
ですから、今回のイベントのように、実際に目の前で作品を作る姿を見られることは、例えば音楽好きな人たちがコンサートに足を運ぶのと同じように、とても貴重な体験なのです。
さて、「第2回 飛び出せ! facebook フラワーレッスン&デモンストレーション」は2部構成で行われました。
前半は安蔵博さんのレッスン。普段パリで活動されているため、日本で直に安蔵さんにご指導いただける機会は滅多にありません。安蔵さんは、自然の風景をそのまま切り取ったような、彼の作品を見た人が、そこに吹く風をも感じ取れるような花を生けるデザイナーです。
使用花材は野ばらの実や紅葉ヒペリカム、紅茶色のバラ「ジュリア」など。
秋のパリを思わせるガーデンの景色そのままの安蔵さんらしい花材をたっぷり使って自分で生けて、それをデザイナー自ら指導いただけるとあって参加者は夢中で作品を生けました。私も必死で生けましたら「とてもよく生けられていますね。現在習っていらっしゃる先生のご指導の賜物ですね」と言っていただけてとても嬉しかったです。
後半は小西克彦さんのデモンストレーションです。
小西さんは、花業界の人なら知らない人はいないといわれるような有名生産者さんがこぞって花材提供を申し出るくらいのすごいお花屋さんです。自然豊かな山形ならではの地元の草花や枝ものと、一流!の花材をうまくミックスして小西ワールドを作り上げます。
今回も、「ダイヤモンドリリー」という秋の限られた期間にしか出荷されない貴重なキラキラ輝く花や、「飛騨マム」というやはりこの時期にしか出荷されない繊細な菊などをふんだんに使って5作品を披露してくださいました。
小西さんのデモンストレーションでは、100円ショップで購入されたという白い鳥の羽で作ったフレームや、お菓子の箱に和柄の紙を貼りつけたフレームなど、身近な材料を使用し、ちょっとした工夫が随所に見られました。
一般的なデモンストレーションでは豪華な花材をたくさん使って、とても真似できないような大掛かりなものが多いなか、私たちでも取り入れられそうなユニークなアイデア満載の小西さんならではの作品群から多くの事を学びました。
今回の素晴らしいイベントの次回は未定ですが、おそらく日本各地でさまざまなお花のイベントやデモンストレーションが開催されています。安蔵さんは来年3月パリでデモンストレーションを開催されますし、小西さんは来年3月に京都で開催される「花生けバトル」というイベントの決勝に出場されます。
花の雑誌のイベント情報欄やインターネットを使って、素敵な花のイベントにぜひ皆さんも足を運んでみて下さいね。
(高橋植物園 高橋さやか)
- 前の記事を読む(古今東西 ご神木巡礼 番外編 お酉さまと切山椒)
- 次の記事を読む(ヒイラギと言われても……。クリスマスに飾る“ヒイラギ”は別種だった!)