こんにちは。エバーグリーン編集部のまえだです。
みなさんは、佐藤初女(はつめ)さんをご存じでしょうか? 初女さんは、1992年青森県の岩木山麓に『森のイスキア』という施設を開設し、疲れ悩み、救いを求める人に手作りの食事を提供して寄り添う活動をしてこられました。
「エバーグリーンポストで、どうして初女さんの話を?」と思われるかもしれませんね。
初女さんについて書こうと思ったのは、彼女が、食べることと同じくらい、いえ、きっとそれ以上に自然を大切なものと考えられていたから、つまり、草木花を愛する大先輩だからです。
『森のイスキア』には、その名のとおり、周囲にたくさんの樹木が植えられています。世話をした青年から贈られた白樺、ダライラマから贈られた胡桃などが、1本1本大切に育てられています。そして、初女さんの著書には、それらの樹木や身近な草花について、さまざまな言葉がつづられているのです。
そのなかで私が特に印象に残っているエピソードがあります。80歳にして自分の心が揺れ動いていると感じていた初女さんは、しなやかに風に揺れる白樺の若木の姿を見て、「揺れ動くのもいいのですよ」という神父さんの言葉を思い出したそうです。枝は揺れていても幹は揺るぐことのない白樺。初女さんが感じられた白樺の力強さが、私には初女さんご自身の姿に重なって見えました。
初女さんは、常々「私“面倒くさい”というのが一番嫌なんです」とおっしゃっていたそうです。私にとっては、とても耳が痛い言葉。草木花を育てるときには、暑いから、寒いから、雨が降っているから、「面倒くさい」などと言っていてはいけませんね。
さる2月1日、初女さんは94歳で天に召されました。イスキアには、初女さんが作ってくださる「おむすび」を目当てに訪れる方が多かったのだそうです。私もいつか、初女さんのおむすびをいただきたいと思っていたひとり。とても残念です。
エバーグリーン編集部オススメサイト
- 佐藤初女さんの最後の著書
「限りなく透明に凛として生きる~「日本のマザーテレサ」が明かす幸せの光」(ダイヤモンド社書籍オンライン)
- 初女さんの所作や言葉のひとつひとつが、胸に沁みます。
森のイスキア佐藤初女さんの「おむすび」 あおうまクッキング2008年8月号(YouTube)
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