全国のほとんどの小学1年生が夏休みに栽培する花といえば、アサガオですね。
さて、万葉集のなかで「朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけり」と詠まれています。昼前にはしぼんでしまうはずのアサガオが「夕影こそ さきまさりけり」というのに違和感を覚えます。
また、同じ万葉集で山上憶良が秋の七草について詠んだ和歌「萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなへし) また藤袴(ふじばかま) 朝貌(あさがお)の花」にも「朝貌」が登場しますが、この時代にはまだアサガオは日本にはなかったとされていることから、この場合は「キキョウ」を指すといわれています。
日本人になじみ深いアサガオ(ヒルガオ科サツマイモ属)の原産地は、実は熱帯アジアおよびヒマラヤ山麓で、奈良時代末期~平安時代に日本に入ってきたとされています。上で紹介した万葉集が書かれた奈良時代以前の日本では、キキョウやムクゲなど朝に咲く花のいくつかをアサガオと呼んでいたようです。
現在、私たちがアサガオと呼んでいる植物は、奈良時代(平安時代という説も)に、中国からその種が生薬(下剤)として伝わってきた「牽牛子(けんごし)」が基のようです。しかし、種だけではなく、朝に咲くその美しい花は、「アサガオ」と呼ばれるようになり、観賞用植物として、品種改良が重ねられ、たくさんの色や形の品種が生まれました。
江戸時代には、アサガオの新しい品種を生み出すことで、下級武士たちは収入を得たともいわれています。また、浮世絵にも、アサガオを愛でる人びとの様子が多く描かれていることからも、アサガオが当時の人びとの暮らしに溶け込んでいたことがよくわかります。
- アサガオの花言葉:「はかない恋」「固い絆」「愛情」
エバーグリーン編集部オススメサイト
- 明治40年設立。大輪朝顔を愛する一般の同好会。栽培講習会も開催される
- イラスト入りで、具体的な作業の説明がわかりやすい
- 過去記事も含めて、圧倒的な情報量
(エバーグリーン編集部 愛垣)
- 前の記事を読む(暑い夏でも元気いっぱい! 花屋おすすめの苗)
- 次の記事を読む(コニシキソウとその仲間 )