ブドウに嘴(くちばし)がついたような花を見たことがありますか。これは、特別天然記念物の「相良のアイラトビカズラ」の花です。
アイラトビカズラの原産地は中国だと考えられています。昔は、日本にも広く分布していたようですが、現在、日本で自生しているものは次の3カ所だけです。
- 熊本県 菊鹿町(山鹿市)樹齢1000年以上と言われる
- 倉岳町(天草市)2010年確認
- 長崎県 コトイ島(佐世保市:無人島)2001年確認
ただしこの3カ所以外でも、アイラトビカズラを見ることができるようです。
たとえば、成長の早さを活かして壁面緑化に利用されていたり、植物園などに植えられ研究されていたりするなどです。これらは、株分けされたりタネを植えたりすることで育てられました。アイラトビカズラを身近に感じられる場所があるのはうれしいですね。
熊本県山鹿市菊鹿町の「相良のアイラトビカズラ」は、以前は、数年に1回くらいしか咲きませんでした。そのため、アイラトビカズラは、滅多に咲かない伝説の「うどんげの花」だといわれています。
「うどんげの花」には「開花すれば、必ず国家的事変がある」という言い伝えがありました。実際、1929年に35年ぶりにアイラトビカズラが開花した際は満州事変が起きています。また、仏教では「うどんげの花は3000年に一度花が咲き、その際、金輪王が誕生する」とも伝えられているようです。
しかし、最近では、アイラトビカズラの花は毎年咲いています。これは、アイラトビカズラのための棚を作り、細やかな世話がされるようになったおかげで、樹勢が回復したためと考えられています。
さて、冒頭にご紹介したアイラトビカズラの花ですが、独特の芳香があります。どのような香りかというと(人の好みもあるのでなんとも言えませんが、個人的には)バラの花の香りのようなものではなく、“生き物の香り”に近いような、別の意味で印象的な香りだと思います。
アイラトビカズラの花の見頃は、4月下旬から5月上旬です。今年はぜひ、アイラトビカズラを観に、長崎(佐世保市)、熊本(倉岳町、菊鹿町)などに足を運ばれてはいかがでしょうか。
- アイラトビカズラの花言葉:希少植物のため花言葉不明
エバーグリーン編集部オススメサイト
- 樹齢1000年以上と言われる「相良のアイラトビカズラ」
- 実物は、無人島(所有者あり)のため見られませんが、移植したものを見ることができるようです。
佐世保のアイラトビカズラ(波佐見から情報発信 トライックス·カフェ)
- 人手があまり入っていないところのため、状況が理解できず、見つけられなかったのかも (^^
- 成長スピードが速いらしいので、日よけとして使うのは良いかもしれませんね。
壁面緑化に最適な植物アイラトビカズラ(細川エクステリア株式会社)
(エバーグリーン編集部 愛垣)
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